自由貿易堅持、米への説得期待 G20焦点、加藤隆俊元財務官に聞く

 
インタビューに答える加藤隆俊元財務官

 米ワシントンで19日に開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議と、併せて予定される日米財務相会談の焦点を元財務官の加藤隆俊国際金融情報センター顧問(76)に聞いた。

 --G20ではどのような議論を期待するか

 「世界経済の現状やリスクを点検した上で、各国が米国に自由貿易の重要性を訴えることが大切だ。保護主義的な意見は米国だけでなく、欧州連合(EU)や中国の国内でも出ている。自由貿易が世界経済に大きな恩恵を与えてきたことを再確認し、多国間の枠組みが崩れることもないようにすべきだ」

 --世界経済の現状は

 「先進国を中心として基本的には堅調だ。だが、トランプ米政権の大型減税や歳出拡大による景気過熱は気掛かりだ。何かのきっかけで株価や金利が大荒れになったり、インフレが加速したりするリスクがある」

 --米中貿易摩擦の影響をどう見ているか

 「中国への追加関税が実際に発動されるのか、交渉で着地点を見いだせるのかで随分違うが、最悪の場合は世界経済にとって深刻なブレーキとなり、日本の輸出にも影響が出てくるだろう」

 --財務相会談の注目点は

 「ムニューシン米財務長官は1月、ドル安傾向を容認するような発言をした。通貨の競争的な切り下げをしないといったG20の為替合意を念のため確認することが大切だ。中国の知的財産権の侵害問題で日米の認識は共通している。共同戦線を張ろうという話になるかもしれない」