日銀、物価2%目標達成時期削除 「先送り」リスクを排除
日銀は物価上昇目標2%の達成見通し時期の明示をやめたことで、これ以上「ゴール」を先送りするリスクを回避した格好だ。大規模な金融緩和の開始から5年が過ぎてもなお、足元の物価は目標の半分にしか届いていない。保護主義の台頭や消費税増税など、経済・物価の先行きにはさまざまな懸念材料が待ち構える。手持ちのカードが乏しくなっている日銀は新体制への移行とともに現実路線にかじを切った。
27日の金融政策決定会合後の記者会見では、記述の削除に関する説明を求める質問が相次いだ。
黒田東彦総裁は「(物価上昇目標の)達成期限ではなく見通しであることを明確にするため、記述の仕方を変えた」と説明した上で、2%の物価上昇目標をできるだけ早期に実現させるという考えに変わりはないことを強調した。
ただ、展望リポートの中身をよく見ると、多くの委員が物価の先行きに対して下ぶれリスクを強く意識していることが分かる。2019年度は7人、20年度に至っては8人が下ぶれリスクの方が大きいと考えていることが示された。
実際、米国と中国の貿易戦争への懸念が高まっているほか、米国の金融引き締めが想定以上に早まれば新興国から投資資金を引き揚げる動きが出る可能性も指摘される。27日には、北朝鮮情勢をめぐって大きな変化が起きるなど地政学的リスクもくすぶる。
市場では、緩和に積極的とされる若田部昌澄副総裁や片岡剛士審議委員への牽制(けんせい)との見方が広がる。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは「若田部副総裁の反対票や追加緩和提案のトリガーを引くような先送りを避けたかったのではないか」と深読みする。
「黒田日銀」はこれまで2%の達成見通し時期を6回先送りしてきた。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「多くの政策委員は本音では2%の物価上昇目標の達成は難しいと考えている。『もう少し頑張れば2%を達成できる』と言い続けるよりも、現実的な対応として、黒田総裁の2期目のスタートに合わせて物価目標の柔軟化をより明確にしたのだろう」と分析している。(米沢文)
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