保育所入所、AIが数秒で選考 手作業50時間分が数秒で終了、さいたま市で実験
「誰をどの保育所に割り振るか」-。煩雑な認可保育所の入所選考を、市区町村の職員の代わりに人工知能(AI)に任せる動きが出始めた。
昨年、さいたま市と富士通研究所などが実験したところ、手作業で約50時間かかっていたのが数秒で終了。申し込んだ人に早く結果を伝えられるほか、職員の負担が軽減され、住民サービスが向上すると期待されている。
本年度を「AI元年」とする東京都港区でも、保育所選考に活用する実証実験を準備中だ。効果を見極め、早ければ来春選考での導入を検討しており、今後各地でこうした動きが広がりそうだ。
入所選考は、申し込んだ世帯の構成や勤務状況などが点数化され、高い順に割り振られる。さいたま市では希望の保育所をいくつでも申請でき、きょうだいがいる場合は「同時に同じ保育所入所」「入所時期がずれてでも同じ保育所を」「別々でも近くなら」といった要望にも配慮。殺到する希望者を、こうした複雑な条件で割り振らなければならない。
例年1月の3連休に、約30人の職員が朝から晩まで手作業で振り分けるが、利用申請数は年々増えて昨年4月入所では約8000人分。選考は平日までずれ込み約50時間かかった。
昨年春のさいたま市での実験は富士通研究所のほか九州大が参加し、意思決定や利害調整に数学的なモデルを使う「ゲーム理論」の考えを応用した。選考の仕組みと保護者のさまざまな希望を踏まえ、数秒で適切なマッチングを導き出した。
市保育課の担当者は「手作業の方が、保護者の事情に対する理解が深まる面もある」とするが「事務負担が劇的に軽くなり、住民に結果を早く伝えられる」とメリットを語る。
ただ実際の導入は未定だという。
作業が早く終わっても保育所の受け入れ枠が増えるわけではないが、厚生労働省の担当者は「事務負担が軽くなれば、保育所の監督指導や保育事故の防止などに力を入れやすくなるはずだ」と期待する。
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