綾瀬市が「電子書籍図書館」 全国屈指1万2000冊の蔵書 交通便悪く…来館せず利用可能 神奈川
タブレット端末やスマートフォンなどを通じて読むことができる電子書籍約1万2千冊の貸し出しを、神奈川県綾瀬市立図書館が4月から始めた。1万冊を超える電子書籍を保有する公立図書館は全国でも珍しいとされる。市内には鉄道の駅がなく、図書館への交通アクセスが不便だが、「電子書籍の場合、来館しなくても読書を楽しむことができる」(同図書館)として導入を決めたという。市では読書の習慣が乏しい若年層らを中心に利用拡大を図る方針だ。
1万2千冊のうち、1万1千冊は著作権が切れた作品を集めた「青空文庫」の中から同図書館が選んだもの。青空文庫は無料で公開されているが、同図書館利用者らの利便性を重視して、電子書籍図書館を導入したという。市では今後、青空図書館以外の分も含めて2万冊まで増やす方針としている。
◆おすすめ紹介機能も
市は「電子図書館」として、ホームページ(HP)上で紹介。利用するには、綾瀬市立図書館本館でIDとパスワードを取得することが必要で、電子図書館用のカードを受け取る。
24時間利用が可能で、貸し出しは3点までとなっている。貸出期間は14日間で、貸出期間が過ぎると、自動的に返却される仕組みになっているという。
利用者情報の画面を設定することが可能で、過去に借りた電子書籍のジャンルなどから、おすすめの書籍を紹介する機能や、これから借りたい電子書籍の情報を保存しておけるリスト機能、電子書籍を評価する機能なども備えた。利用対象者は綾瀬市民のほか、相模原市▽藤沢市▽秦野市▽厚木市▽大和市▽伊勢原市▽海老名市▽座間市▽愛川町▽清川村-といった近隣の10市町村の住民も利用が可能だ。
◆若年層や生涯学習に
電子書籍の貸し出しサービスについては、県内では大和市が2年前から実施しているが、蔵書はわずか約300冊。電子書籍の貸し出しは全国約70の自治体で行っているが、「1万冊超の蔵書はかなり多い方」(綾瀬市)という。
綾瀬市が電子書籍事業に力を入れる狙いは、市内に鉄道の駅がなく、交通手段が限られる中、図書館に足を運びにくい市民らへの利用を促進するためだ。「読書活動の普及や生涯学習活動の活発化を図る」としている。中でも、読書の習慣が乏しく活字離れが深刻な若年層や、子育て世代への浸透を進める考えだ。市では今年度から、図書館本館の平日の開館時間を午後7時まで延長したほか、返却ボックスを新たに5カ所設置するなど、図書館利用率の向上に本格的に取り組んでいる。今後の取り組みにも注目だ。
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■青空文庫 著作権が消滅した作品や著者が許諾した作品を、電子書籍としてインターネット上で無料公開している電子図書館(https://www.aozora.gr.jp/)で約1万5000作品が収録されている。平成9年に開設され、ボランティアが入力、校正している。
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