ネット同時配信に協議会設立提言 総務省有識者会議 通信と放送議論

 
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 総務省は5日、放送サービスの未来像について協議する有識者会議を開いた。BS放送への新規参入公募や放送番組のインターネットでの同時配信に向け、放送と通信関係者で構成する連絡協議会の設立を提言する報告書を取りまとめた。同協議会は今年度中に設立する方針。一方、4日に提言を公表した規制改革推進会議は、総務省に対して、NHKの常時同時配信やローカル放送局の経営基盤の在り方など多様で困難な課題の検討を求めており、難しい議論が続きそうだ。

 5日にまとまった報告書では、BSなどの衛星放送で割り当てられた周波数帯を事業者が有効利用していなければ、総務省が周波数帯の縮小を促し、新規参入につなげる仕組みを導入する方針を盛り込んだ。同省は放送法を改正し、2019年度中の実現を目指す。

 BS放送用の周波数帯域をめぐっては、約20の事業者のうち海外ドラマなどを放送する3社が周波数帯域の縮小を要望している。総務省は3社以外にも帯域再編の希望を聴取する方針で、1チャンネル以上の帯域が新規事業者向けに空く見通しとなっている。

 一方、報告書は20年東京五輪・パラリンピックに合わせ、インターネットでテレビ番組を視聴できる環境を整えるよう求めた。放送事業者と通信などの関係者が同時配信に関する技術的な課題に対応する連絡協議会を今年度中に設立し、ネットに円滑に番組を流す体制を検討する。NHKや民放がそれぞれ提供しているネット配信サービスを1つのサイトにまとめることなどを議論する。

 今回の報告書が示した、同時配信に向けた技術的課題の検討やNHKと民放共通の番組ネット配信サービスの議論は、規制改革推進会議も18年度中の対応を求めるなど、海外のネット配信事業者が勢いを強める中で喫緊の課題となっている。一方、NHKの常時同時配信の是非など紛糾が必至の課題については、規制改革推進会議も「早期に結論を得る」と時期は示さなかった。