訪日客に果物狩りが大人気 ネット通じ評判拡散、旅行会社も本腰
果物狩りを楽しめる観光農園に外国人旅行者が続々と訪れている。日本の果物のおいしさが知れ渡ったのに加え、モノより体験を求める「コト消費」の人気が大きい。投資やPRに積極的な農家の評判はインターネットを通じ、国境を越え拡散中。企業の参入も目立ち、農村部必須の観光スポットになりつつある。
工夫や営業努力も
「甘くて新鮮。タイでは高級品なのでお得ね」。5月末、タイから福岡県筑紫野市の「筑紫野いちご農園」を訪れたタマポーン・ラッタナタンさん(45)がイチゴを摘んでほほ笑んだ。日本産の品質は高い半面、物流費がかさんで現地では値が張る。1900円で40分の食べ放題は魅力だ。福岡空港から車で約30分とアクセスが良く、口コミがフェイスブックでも広まり、昨年11月~今年5月のシーズンは2年前の1.5倍を超す約4200人の訪日客が立ち寄った。昨年2月にケーキ店を開き、今夏にはブルーベリー狩りも開始。季節を通して客足を絶やさない工夫を重ねる。
海外から年間約1万人を集めるのはブドウやリンゴなどを栽培する熊本市北区の吉次園。前田正明代表は台湾などの旅行会社に営業も欠かさず「果物の品質へのこだわりとともに、存在のアピールが大切だ」と力を込める。熊本県内の農園や農林中央金庫などと組み、海外のブロガーや記者を招くモニターツアーも実施している。
観光庁によると、訪日客が娯楽サービスに費やした金額は2017年に1439億円で4年前の4倍以上。一方で旅行消費全体に占める割合は欧米より低いとのデータもあり、伸びしろは大きいと官民が注目する。
旅行会社も本腰
JTBとJCBが出資するJ&J事業創造(東京)は昨年、約780の農園を紹介するサイト「Japan Fruits」を開いた。観光関連団体が「日本土産に欲しい飲食物」を尋ねた15年のアンケートで、果物は香港などで上位に入ったが「いつ、どこで何を収穫できるかが知られていなかった」のが開設のきっかけ。今後は予約や通販機能も拡充する。
日本旅行は、英語のガイドを常駐させ長野県飯山市に昨年オープンしたリンゴ園が好評で、今秋は食べ比べできるよう品種を増やす。日本航空も農業関連の新会社を通じ、イチゴのほかサツマイモ収穫を体験できる施設を20年に開く計画だ。
農林水産省の15年度の調査によると、観光農園を営む全国6700事業者の平均売上額は年564万円と小規模だが、みずほ総合研究所の堀千珠主任研究員は「地方が観光面で都市と違いを出す上で農業は有力な手段だ」と指摘。さらに客を呼ぶには「地域の他の農園や企業、自治体との連携も鍵を握る」と話した。
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