6月日銀短観 原材料価格上昇、5年半ぶり2期連続で悪化
日銀本店の外観=東京都中央区(早坂洋祐撮影)
日銀が2日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回3月調査から3ポイント下落のプラス21となり、2012年12月以来5年半ぶりに2四半期連続で悪化した。原材料価格の上昇や人手不足が企業心理を冷え込ませた。
3カ月後を示す「先行き」はプラス21で横ばいを見込んだ。高水準を依然維持してはいるが、トランプ米政権の保護主義的な通商政策による貿易摩擦の懸念が影を落としている。
最近の大企業製造業では石油・石炭製品が13ポイント、自動車が7ポイント、非鉄金属が6ポイントそれぞれ下落するなど、素材業種と加工業種がいずれも悪化。事業計画の前提となる今年度の想定為替レートは1ドル=107円26銭と前回3月調査から2円40銭円高ドル安に振れた。
大企業非製造業の景況感は1ポイント上昇のプラス24となり、4四半期ぶりに改善。教育や介護など対個人サービスが10ポイント、宿泊・飲食サービスも8ポイント上昇した。
多くの業種では人手不足への対応が引き続き課題だが、雇用者数を「過剰」とする企業から「不足」の割合を差し引いた雇用人員判断は、全規模全産業で2ポイント上昇のマイナス32となり、8四半期ぶりに改善した。
DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。調査は5月29日~6月29日に実施し、約1万社が回答した。
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