米6日に対中制裁発動へ 818品目、3兆7600億円相当に25%の追加関税 中国も即座に報復の構え
トランプ米政権は6日午前0時(日本時間同日午後1時)すぎ、中国による知的財産侵害を理由として、818品目、約340億ドル(3兆7600億円)相当の中国製品に25%の追加関税を課す制裁を発動する。中国は即座に同規模の報復関税を実施する構えで、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める両大国が、報復を応酬させる本格的な「貿易戦争」のふちに立った。
トランプ氏は5日午後(同6日午前)、記者団に対し、6日に予定通り制裁を発動することを認めた。
米政権は3月、米通商法301条に基づき、中国からの計約500億ドル分の輸入品に制裁関税を課す方針を表明。米中両政府は閣僚級の協議を重ねたが歩み寄れず、米国が6月、制裁発動を決定した。
米制裁は、中国政府がハイテク産業育成策「中国製造2025」で重視する製品を狙い撃ちにしている。6日に発動する制裁の対象品目には、航空や情報通信分野の製品や部品のほか、ロボット、産業機械などが盛り込まれた。
トランプ政権はさらに284品目、約160億ドル相当の追加制裁を準備。中国側が報復に出れば、制裁対象を最大で総額4500億ドル相当に拡大する可能性を示唆していた。
これに関して、トランプ氏は5日、約160億ドル分の準備を「2週間内にも」終えると指摘。最終的な制裁対象の総額について「500億ドルに2千億ドルを足して、さらに3千億ドルだ」と述べ、計5500億ドルまで上積みする考えを示した。
一方、中国国務院(政府)は6日、米国の追加関税に対抗し、農産物など545品目、340億ドル相当の米国製品に対する25%の追加関税措置を発動する。
中国による報復関税の対象には米国産の牛肉や豚肉、大豆、小麦などの農産物やエビ、ウナギ、タラなどの水産物、自動車などが含まれる。トランプ大統領と与党・共和党の支持基盤である産業を狙い撃ちにする意図もうかがえる。
中国当局は各国に対して「保護主義と一国主義への反対に向けた共同行動」(高峰商務省報道官)を呼びかけており、国際社会を巻き込みながら米国に対抗する構えだ。
両国は一歩も引かない姿勢で、一方の報復が相手方の報復を招く貿易戦争に陥る可能性が高まった。世界経済の牽引役となる貿易の混乱は避けられない。(ワシントン 塩原永久、北京 西見由章)
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