【米中貿易戦争】米中、互いに第2弾関税発動へ きょう新たに1.7兆円分 対立激化

 

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は米東部時間23日午前0時(日本時間同日午後1時)すぎ、中国の知的財産権侵害への対抗措置として制裁関税の第2弾を発動する。新たに160億ドル(約1兆7600億円)相当の中国製品に25%の追加関税を課し、第1弾と合わせた制裁規模は約500億ドル相当となる。中国も同規模の報復関税を実施する方針で、米中の「貿易戦争」が激しさを増すのは避けられない。

 今回の制裁関税は、不公正貿易に対する一方的な制裁を認めた米通商法301条に基づく措置で、化学製品やハイテク電子部品、鉄鋼製品など279品目が対象となる。

 トランプ政権は6月、中国からの物品の輸入額の約1割にあたる500億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を課すことを決め、7月6日の第1弾で340億ドル相当に追加関税を課した。これに対し中国も同額規模の米製品に追加関税を課して対抗した。

 米中は22~23日に約3カ月ぶりとなる次官級の貿易協議を実施し、11月に開催が取り沙汰される米中首脳会談に向けて事態打開の道を探るが、トランプ大統領が具体的な進展を「あまり期待しない」と述べるなど、すぐに摩擦解消につながる成果が出る公算は大きくないとみられている。

 トランプ政権はさらに9月以降、第3弾として2千億ドル相当の中国製品に追加関税を課すことを検討しているとされる。

 しかもトランプ氏は7月、記者団に対し、制裁関税の対象となる中国製品が総計で5千億ドル相当を超える可能性もあると警告しており、米中による制裁の報復の連鎖がいつ断ち切られるのか容易には見通せない状況だ。