海水浴場の危険をAIが判断、スマホなどに通知 千葉で実証事業

 
離岸流を検知するために試験的に設置したカメラ=11日、千葉県御宿町の中央海水浴場

 高性能カメラが目となり、人工知能(AI)が海水浴場の危険をスマートフォンに知らせます-。千葉県御宿町は今夏、水難事故の原因になる離岸流を新技術で検知し、海水浴客やライフセーバーに通知するシステムの実証事業を始めた。若者らの「海離れ」が進む中、万が一の際の救助時間短縮など安全性向上をPRし、客足回復につなげる狙いがある。

 総務省によると、離岸流の把握から通知まで一貫したシステムの実証事業は世界初。同省が支援し、町や日本ライフセービング協会、中央大、コニカミノルタが参加。有効性が確認できれば各地への普及を検討する。

 離岸流は海岸に打ち寄せた波が行き場を失い、局所的に強い流れとなって沖へ向かう現象。流れの両側で波が砕け、海水が濁るなどの特徴がある。2013年~17年、同協会がライフセーバーを配置する全国約200の海水浴場であった救助案件約1万2000件のうち、離岸流が原因のケースが約4割と最多。死亡事故につながることも多い。

 実証事業では、御宿町の中央海水浴場に動体検知やデータ送信の機能を備えたカメラ3台を設置。AIに定点画像の波の色彩変化や気象データを繰り返し学習させ、離岸流発生を判断させる。

 本年度中にデータの蓄積や分析を進め、最終的にはAIの情報を周囲のスマホやスマートウオッチ、大型モニターに送り、海水浴客に注意を喚起する計画。巻き込まれた人の救助時間も約4分間短縮できる見込みで、離岸流による事故の半減を目指す。

 同協会の中山昭事務局次長は「人の力で全ての海水浴場を監視するには限界がある。AIが監視業務の負担軽減につながれば助かる」と話す。

 日本生産性本部のレジャー白書によると、国内の海水浴客(推計)は08年が約1890万人だったが、娯楽の多様化などで17年には660万人と激減。御宿町の調査でも約46万人が約6万人に減った。

 町の担当者は「海が好きなリピート客も根強くいると思う。安全な海洋レジャーを実現し、客の増加を目指したい」と期待している。