財務対話、中国の接近ぶり際立つ 日本政府、対米貿易協議抱え警戒

 
麻生副総理兼財務相(前列左から5人目)が出席して開かれた日中財務対話=8月31日、北京(共同)

 麻生太郎副総理兼財務相が訪中して8月31日に開いた日中財務対話は、反保護主義や金融分野での連携を示し、関係が一時冷却した中国の接近ぶりが目立った。安倍晋三首相と習近平国家主席の10月の会談実現を後押しした半面、対米貿易協議を抱える日本政府内では、米国を刺激する展開への警戒感もくすぶる。

 金融分野の日中協力は2002年に本格スタート。アジア通貨危機を教訓に、非常時に互いの通貨を融通し合う通貨交換協定を結んだ。

 協定は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化問題の余波で13年に失効、関係は停滞したが、財務対話では「継続的で強固な日中関係の発展に貢献する」との合意文書を交わし、麻生氏は「今までの中で一番雰囲気が良かった」と総括した。

 財務対話で協議した通貨交換協定は、元の協定を大きく上回る3兆円規模での再開が見込まれ、日本の財務省関係者は「首脳会談の場で実現できる」と自信を示した。

 一方で、「米中貿易摩擦が中国の日本接近に拍車を掛けている」と日中関係筋は話す。中国が米国との対立長期化を懸念し同調する国を増やそうとしているとの見方だ。

 米国が鉄鋼などに続いて輸入車への高関税を検討する中、日米間では月内に2回目の閣僚級貿易協議を開く方向。トランプ米政権が日中協調に反感を持てば関税問題での強硬姿勢や、2国間の自由貿易協定(FTA)締結といった対日要求を一段と強めかねない。

 独自の経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国はパキスタンやスリランカなどのインフラ整備に資金を貸し込み、債務国の財政が揺らぐ弊害も出ている。経済官庁幹部は「米国と連携して中国の過剰融資や知的財産侵害を防ぐことに注力すべきだ」と話し、日中融和に傾く流れを牽制(けんせい)した。