ネパール、エベレストから特産品を 登山拠点で邦人女性経営、登山愛好者らでにぎわう

 
ネパール東部ルクラで経営するヒマラヤ特産品の店で、織物を広げる樋渡ますみさん=4月(共同)

 世界最高峰エベレスト(8848メートル)への登山・トレッキングのルート「エベレスト街道」の玄関口、ネパール東部ルクラに日本人女性が経営する異例の土産物店がある。地元の特産品で貧しい村々を支えようとする標高2860メートルの「天空の特産店」は世界中の登山愛好者らでにぎわっている。

 「キャラバン土産物店」は元青年海外協力隊員の樋渡ますみさん=茨城県出身=が2015年2月から経営する。登山用品店が並ぶ通りにあり、ヒマラヤを代表する家畜ヤクの革を使ったかばんや毛織物、ヒマラヤの崖の巣からとった濃厚な蜂蜜、お香が並ぶ。多くは樋渡さんが個別にデザインし、発注する。

 東京農大で林業を学んでいた01年ごろネパールを初訪問。「8000メートル級の山々が連なる美しい風景や昔の日本に似た伝統生活が魅力だった」。12~14年に協力隊でネパールに滞在中、ルクラで働いていた少数民族ライ出身のG・B・ライさんと出会い、後に結婚した。

 夫と生活するため移住し、開業した直後の15年4月、ネパール大地震で店の建物にひびが入ったが営業を継続。標高が高く物資が限られるエベレスト街道で「日本人が営む店は珍しい」と山岳ガイドや旅行代理店の評判になった。

 ルクラのテンジン・ヒラリー空港は険しい山あいにあり「世界一危険な空港」と呼ばれる。天候が悪化すれば1週間以上欠航になることも。「そんな時は、立ち往生したお客さんで店が繁盛する」と笑う。

 周辺の村には少数民族のブローチなど美しい装飾品の伝統がある。樋渡さんは「そんな村の芸術品を外国人が身に着けられる土産物に改良し、村の発展につなげたい」と願っている。(ルクラ 共同)