接続遮断法制化に異論続出 海賊版サイト、対策再検討
政府は13日、漫画などを無料で読ませる海賊版サイトの対策を検討してきた有識者会議に中間報告書の素案を示した。素案は強制的に閲覧を止める接続遮断(ブロッキング)をめぐり、条件付きで法制化を容認する内容を盛り込んだ。憲法が保障する「通信の秘密」が侵害されると主張してきた委員が相次いで反対意見を表明し、中身を再検討することになった。
法制化方針は政府が4月に打ち出したが、会議を通じ、異論が多い現状が浮き彫りになった。19日の次回会合を想定してきた報告の取りまとめは、難航が予想される。
素案は、海賊版サイトによる著作権侵害が深刻化していると説明し「総合的な対策」として、問題サイトへの広告出稿の封じ込めや青少年への啓発活動などを列挙。関連業界が連携した枠組みづくりの必要性を訴えた。
一方、それぞれ実効性に課題があることにも触れた。委員の合意事項とはせず賛否両論を示しつつも、接続遮断の法制化が「政策的な選択肢となり得る」と記した。
法整備する場合、合憲となるのは他に実効的な手段がない場合などに限られると指摘。行政が関わると「検閲」に当たる懸念を念頭に置き、著作権者が裁判所に申し立てる司法手続きであれば「憲法上の問題が生じる可能性は低い」との判断を示した。著作権法の改正が適切だとした。
13日は内閣府の事務局が素案を説明し、接続遮断に反対する委員は「『通信の秘密』の位置付けが下がり、(著作権以外の)他の分野の救済もブロッキングでやれということになる」と適用拡大への懸念を主張。出版業界からは「(問題を)解決できない場合の選択肢として残すべきだ」と支持する声が聞かれた。
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