借金漬けの港湾に奪われた権益…スリランカと「一帯一路」、発展期待と疑心暗鬼交錯
中国の一帯一路構想は、援助外交を通じた相手国の発展だけが目的でない。インド洋の要衝に位置する島国スリランカでは、中国が債権者の地位を利用、勢力圏を拡大する現実があらわになった。南部の港湾は借金漬けの末、中国に運営権を奪われた。最大都市コロンボは中国の沖合埋め立て事業が進む。発展期待と疑心暗鬼が交錯する。
軍港化の懸念
「中国がもうかっただけ。だまされたんだ」。2010年に完成した国内最大級の南部の港湾、ハンバントータ港の近くで商店を営むプンチヘーク・クマールさん(46)は憤る。
港湾は昨年7月、権益の大部分が中国系企業に99年間貸与されることが決まった。6%超の高金利で融資を中国に頼り、巨額の負債を背負った代償だ。「新植民地主義」との批判も出た。
10月、近くの丘から港湾の様子をうかがうと、貨物船が2隻だけ停泊していた。動きは少なく活気に乏しい。船の出入りは数日に1回程度とされ、経営が成り立つとはとても思えない。港湾で働いた経験があるナリム・カーンさん(50)は「本当に静かな港だよ」と苦笑いを浮かべた。
周辺は水道事情が悪く、中国系企業が数十キロ離れた水源地から運ばれた水を船に販売しているという。クマールさんは「港も水も持って行かれている。われわれには何の利益もない」と怒る。
港湾は中国の軍港化懸念がつきまとう。米国のペンス副大統領は4日の演説で「すぐにも中国海軍の前線基地になるかもしれない」と警戒する。念頭にあるのは、港湾の南西約1800キロのインド洋にあるディエゴガルシア島の米軍基地。軍港化で米国を中心としたインド洋の安全保障体制が崩れかねない。
経済効果を強調
一方、中国は経済発展の成果を示し警戒感を解こうとする。コロンボ沖合で進む「ポートシティー計画」の開発資金約14億ドル(約1700億円)すべてを融資。計画は東京ドーム58個分に相当する約269ヘクタールの埋め立て地に商業施設や住宅をつくる大型開発事業だ。
コロンボの海岸沿いには中国系のホテルが建ち、開発を担う中国企業の看板がずらりと並ぶ。看板は高層ビルが立ち並ぶ街の完成予想図とともに「8万3000人の雇用」などと経済効果を強調する。
タクシー運転手のレナード・アルウィティガラさん(60)は「このあたりは中国一色だ。発展のために仕方ないのかもしれないが、本当にそれでいいのか」と複雑な表情を浮かべた。(ハンバントータ 共同)
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