大阪万博が示す「未来の社会」準備本格化 VR、AI…技術進化どこまで
2025年国際博覧会(万博)の大阪開催に向けた準備が今年、本格的に始動する。政府は大阪万博を「未来社会の実験場」と位置付け、仮想現実(VR)や人工知能(AI)などの最先端技術を次々と展示する方針。6年後を見据えながら民間の技術開発も活気づく。
医療への活用期待
ゴーグル型端末を着けると、目の前に白い球体が次々と浮かぶ。コントローラーを手で操作してレーザーを放ち、球体を壊していく-。動体視力と指先の運動を刺激することで、VRが認知症治療に役立つかもしれない。
そんな研究を進めているのは、先端技術の愛好家でつくる集団「大阪駆動開発」のメンバー、鈴木慎一さん(35)ら。「VRの精度は今後一層高まっていく」と、大阪万博決定で技術発展に弾みがつくと期待する。
実際にはカロリーが低い食品でも、視覚や嗅覚、味覚を刺激して、ケーキを味わっているような感覚を得られれば、糖尿病などを患う人には楽しみが増える。「ダイエットへの活用もあり得る」と鈴木さんは指摘した。
VR同様に進化がめざましいAIは、既に囲碁では人間を上回る。画像認識能力も向上しており、拡張現実(AR)と組み合わせることで建設現場での設計情報の視覚化や医療現場での手術訓練への利用が想定される。
多くの可能性を持つAIだが無から何かを生み出す「創造」はできないといわれる。大阪万博は「人間とは何か」を考える場にもなりそうだ。
大阪駆動開発のメンバーで、VRやCG作成で大人顔負けの技術を持つ堺市の中学3年生、盛尾悠介さん(15)は「進歩する技術の最先端を見たい。自分も何か出展してみたい」と25年を心待ちにしている。
IR参入競争が過熱
一方、大阪万博はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に追い風になるとの思惑から、外資を含めた関連企業の参入に向けた動きが既に熱を帯びている。
今年の「関西統合型リゾート産業展」に向けて大阪市内で昨年12月12日に開かれた説明会には、大手ゼネコンや電機メーカーなどから約300人が参加。主催者が「(IRは)情報収集から、実際のビジネスのフェーズに考えをスイッチする時期だ」と呼び掛けると熱心に耳を傾けた。
参加したイベント企画会社の担当者は「競合が多いので乗り遅れないようにしたい」と前のめりだ。大林組は24人態勢の「大阪万博・IR室」を大阪本店に新設。担当者は「技術、ノウハウを最大限に活用したい」と双方への参画に意欲をみせる。
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