【現場の風】70代の人口増加、消費活性化に期待 三菱総研、主席研究部長に聞く

 
三菱総合研究所の佐野紳也・主席研究部長

 □三菱総合研究所主席研究部長・佐野紳也さんに聞く

 --70代の消費意識に注目している

 「団塊世代(1947~49年生まれ)が70代になり、人口が増えるからだ。2015年に約1400万人だった70代は、2020年には1600万人を超える見通しだ。引退して時間もあり、経済力もある。まだまだ健康なため、70代を『ゴールデンエイジ』と呼んでいる。70代の中心となる団塊世代の価値観と行動を注視し、客観的にとらえることが重要になる」

 --加齢で消費意欲は減退しないのか

 「しない。総務省の家計調査によれば70代前半の1人当たりの消費支出は、50代や60代と遜色ない。50~60代に比べて、70代は介護や子供の心配がなくなる世代だ。生活不安が減少し、満足度や幸福度が高まる。70代までに孫ができる人も多く、この世代が孫のために消費する中心となっている」

 --団塊世代の消費に特徴は

 「介護問題という前の世代の課題を目の当たりにしているため、『自分は介護を受けたくない』という意識が強い。このため健康管理に積極的だ。薬には頼らず、筋肉トレーニングに非常に興味を持っている。ジムなどに通う人も多い。こうしたことは、これまでの70代にはあまり見られなかった傾向だ」

 --スマートフォンを使いこなす人も多い

 「団塊世代は職場でパソコンを使っていた人たちだ。スマホを所有する人も増えている。このため、今後は70代がスマホゲームに消費を増やす可能性がある」

 --70代の男性と女性で消費に違いは

 「男性は自分専用の自動車の保有率が高い。女性に比べ免許を返上する人も少ないようだ。ドライブレコーダーのような安全装備への関心が高く、こうした自動車の周辺市場の活性化も期待できる」

【プロフィル】佐野紳也

 さの・しんや 慶大経卒。1978年三菱総合研究所入社。民間企業、官公庁を対象とした社会環境や消費、情報通信分野における調査、コンサルティング、社会実験に携わる。神奈川県出身。