世界が注目、「砂漠の国」イスラエルの最先端水技術
2050年までに世界で約50億人が水不足に直面する-。国連がこうした予測を示す中、国土の6割超を乾燥地帯が占める「砂漠の国」イスラエルの水関連技術が注目を集めている。特に海水の淡水化や水の再利用に関する技術は最先端を行く。ネタニヤフ首相は「世界を変える技術」と胸を張り、気候変動や人口増加で深刻化する水不足を解決する力があると訴える。
6割以上が海水から
「イスラエルの飲料水は6割以上が海水から作られる」。水問題に詳しいヘブライ大のアブナー・アディン教授は「われわれは(海の)魚のようなものだ」と笑みを浮かべた。同氏によると、イスラエルの地中海沿いには海水の淡水化施設が5つ設置され、1年で約6億立方メートルの飲料水を「製造」している。1立方メートル当たりの費用は70円前後。世界で「最も安い価格」だ。
中部リションレツィオン近郊の淡水化施設で、できたばかりの飲料水を口に含んでみる。無色透明で無味無臭。「元は海水」と言われても、にわかに信じ難い。「マグネシウムなどのミネラルを加えることもできる」。施設を運営するIDEテクノロジーズ幹部が強調した。
イスラエル外務省によると、生活排水も約85%を浄化し、農業用水として再利用している。その割合は世界トップだ。第2位のスペインでも約20%にとどまる。再処理施設の担当者は「今は農業用水だけだが、数年後には飲料水にもなるだろう」と予想する。
輸出額は20億ドル超え
イスラエルでは、乾期はほぼ雨が降らない。雨期は12月から3月だが、年間降水量は北部で約400ミリ、南部で約100ミリ。日本の約1700ミリに比べて少なさが際立つ。
そのため「水の確保」が長年の重要課題となってきた。官民挙げて排水の再利用や海水の淡水化に取り組み、今では前例のない技術やアイデアを生かし急成長を図る「スタートアップ企業」の200社以上が水関連事業に参入。多数のイスラエル企業が国内外で事業を展開し、水関連技術の輸出額は20億ドル(約2170億円)を超えるとされる。
淡水化施設は二酸化炭素(CO2)排出や、処理後に塩分濃度の高い水を海に流すことで生態系に悪影響を及ぼすなどの批判もあるが、水不足克服に貢献したのは間違いない。
「イスラエルの技術には世界中の水不足を解決できる可能性がある」。アディン氏は、水を求める国とイスラエルをつなぐ「武器」にもなっていると主張した。(エルサレム 共同)
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