認知症事故の保険導入、葛飾・中野区が都内で初の試み 新年度事業に
認知症患者の徘徊(はいかい)などによって引き起こされた事故の被害者や本人を救済するため、葛飾区と中野区は7日、高齢者らを対象とした保険に加入する平成31年度の新規事業をそれぞれ発表した。ともに「都内初」としている。高齢者が徘徊中に電車にはねられ、鉄道会社から損害賠償を請求されるケースがあり、葛飾区は5億円、中野区は3億円を上限に損害を補償する。
認知症患者による事故では、愛知県大府市で平成19年、91歳男性が徘徊中に電車にはねられ死亡。JR東海は家族に720万円の損害賠償を求めた。最高裁は28年、家族の監督責任と賠償責任はないとする一方、家族の状況によっては賠償責任を負うとの判断を示した。全国では神奈川県大和市、海老名市などで同様の保険事業が行われている。
葛飾区は人口に対する65歳以上の高齢者率が24.5%(昨年1月)で、23区内で3番目に高い。保険の対象者は、徘徊する可能性のある高齢者の持ち物に登録番号などを記載したシールを貼る「おでかけあんしん事業」の登録者。昨年末時点で244人が登録し、今年度末に540人まで増えると想定している。
保険は認知症患者が引き起こした事故などに巻き込まれた第三者に補償するほか、患者本人も対象。鉄道会社に損害を与えた場合などで最大5億円、患者本人が死亡した場合などで50万円まで補償される。区は事業全体で270万円を一般会計当初予算案に計上し、保険料は年間124万9千円。
一方の中野区では、65歳以上の認知症患者は昨年12月で約1万2千人と推定。担当者は「区内はJRや西武線などの電車や交通環境が密集しており、認知症患者の事故が起きる可能性は皆無ではない」と話す。
区加入の保険では、鉄道事故などで最大3億円、本人死亡などで最大50万円を補償する予定。40歳以上で認知症と診断された区民が対象で、10月から31年度内に100人の申し込みを受け付け今後人数を増やす。
区は徘徊する高齢者の現在地を衛星利用測位システム(GPS)で知らせる事業も手掛け、「一体的な形で見守り体制を構築していきたい」と担当者。一般会計当初予算案で69万円を保険料などに充てる。
このほか、葛飾区はスポーツクライミングの競技施設設備事業に5億1800万円を計上。中野区は不妊検査等助成事業・特定不妊治療費助成事業として3472万円を計上した。
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