【生かせ!知財ビジネス】AI Samurai、世界初3Dアニメで「IPランドスケープ」
人工知能(AI)を用いた特許審査シミュレーションシステム「IP Samurai」で注目されているAI Samurai(東京都千代田区)は、3Dアニメを使い国取り合戦のシミュレーションゲームのような画面で企業の知財状況を表現する、世界初の「IPランドスケープ機能」サービスを開発している。早ければ6月末に発表し、大企業や既存顧客から提供を開始する。
IPランドスケープは企業が知財戦略を検討する際に特許情報を使って自社の置かれた環境を多面的に分析・見える化する手法。財務・事業情報など他の情報とひも付けすることで全社的な戦略にも使える。表やグラフ、俯瞰(ふかん)図を使ったツールの多くは、知財の専門家向けで、分析結果を経営層や知財部門以外の担当者にも瞬時に理解させる手法やツールの開発が課題となっている。
同社が開発中の画面は、どの技術分野にどのような強さや広がり、存続期間のある特許がどれだけあるか、誰でも直感的に把握しやすくなる工夫がされている。具体的には、特許をサムライとしてアバター化(擬人化)し、技術分野(国際特許分類)を領地に見立てたフィールド上に配置。その裏側では、特許の新規性、進歩性などを判断する同社のAIアルゴリズムによって個々の特許と特許間の関係性を評価する作業が行われている。
サムライは、特許の強さで野武士、足軽、軍大将、旗大将、総大将まで5段階に分かれている。特許の権利範囲はサムライの行動範囲で、権利存続期間はサムライの顔を若者や年寄りにすることで、表現される。
分析・見える化の目的は、自社の保有特許の状況や置かれた環境を把握するためだけではない。特許情報を変えることで広がる。例えば自他社の勢力比較ならば競合中の企業の特許情報を、未公開技術の位置付けの確認ならば関連する国際特許分類にある特許情報を使う。
白坂一社長は防衛大学校出身。「学んだ軍事戦略を知財戦略のために生かし、日本の知財を活性化させたい。IPランドスケープ機能に武士が戦うとか城が燃えるといった動画表現が加わればもっと面白いモノになるだろう。日本の経営者が知財に関心を持ち、その闘争心をかき立てることができれば」と話している。価格は未定。今後、中小企業向けのバージョンの開発も検討する。(知財情報&戦略システム 中岡浩)
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