カンボジアの復興をスポーツ通じ支援 有森裕子さん団体設立20年

 

 内戦で荒廃したカンボジアの復興を、スポーツを通じ支援してきたNPO法人「ハート・オブ・ゴールド」(HG、岡山市)が設立20周年を迎えた。代表理事の女子マラソン五輪メダリスト、有森裕子さんが現地で大会に出場して生まれた縁は、行事や選手のサポートから体育教育の普及にまで広がっている。

 有森さんが出場したのは1996年12月、内戦後初の本格的な国際スポーツ大会となったシエムレアプの「アンコールワット国際ハーフマラソン」。その後も政情不安が続く中、大会が続くのを手助けしようと、仲間と98年10月にHGを発足させた。

 その後、HGが大会の運営を担ってきたが、2013年からカンボジア側に委ねた。初回に約600人だった参加者は、昨年12月2日に開催された大会では約1万人。有森さんも参加した。大会は近年、茨城県で開催されている「かすみがうらマラソン」と提携、選手らの相互参加を続けている。

 12月の大会後は首都プノンペンで地元のパラリンピック陸上選手を招き練習会を開催。コーチはパラリンピック3回出場の松永仁志選手で、リオデジャネイロ大会に出場したバン・ボン選手は「実績ある選手の指導を受ける機会はめったにない。とても勉強になった」と笑顔で話した。

 カンボジアは内戦の影響で学校での体育教育の整備が遅れており、HGは06年からこの分野での支援を本格的に始めた。小学校の学習指導要領作成に関わり、現在は中学校の支援に手を広げている。

 カンボジアでは近年、インフラ整備に巨額を投じる中国が存在感を高めている。有森さんは「文化も考え方も違う人たちの中で、仲間を増やしながらここまでやってきた。時間をかけて人材育成などソフト面の支援ができるのが日本の特色だろう」と話した。(プノンペン 共同)