カンボジア産ドライフルーツ、日本市場参入 日本産の現地加工も

 
温州ミカンを加工しているJFPの製造工場=プノンペン(JFP提供)
日本で販売開始されたカンボジア産ドライマンゴー(JFP提供)

 農産物加工品製造・販売会社のジャパン・ファームプロダクツ(JFP、本社・奈良県葛城市)は、カンボジア南部コンポンスプー州キリロム産のドライマンゴーの日本輸出を始めた。日本で人気のフィリピン産マンゴーなどに比べて、香りや甘味が強く、販売価格も安い。JFPは、ほかにもカンボジア産フルーツや野菜の加工品輸出に取り組んでいる。

甘味が強くて安い

 キリロムは避暑地として知られ、マンゴーの名産地でもある。JFPの阿古哲史社長によると、キリロムで収穫されるマンゴーは、肉厚で甘味や香りが強いのが特徴。最近、人気が高まっており、カンボジアから中国などに輸出されている。

 JFPが輸出するドライマンゴーは現地企業のキリロムフードプロダクション(KFP)が製造を手掛ける。マンゴー独自の甘味を生かし、日本で販売されている他国産ドライマンゴーの約半分の量の砂糖で加工される。日本ではヴィレッジヴァンガード(本社・名古屋市)が今年2月に販売を開始した。価格は、他国製品の70グラム当たり400円前後に対して同200円台に抑えている。

 阿古社長は「KFPのカンボジア産ドライマンゴーは、(衛生管理の国際規格である)HACCPやISO22000も取得した大規模工場で製造されており、欧州への輸出基準も満たしている。質が高くて安価なカンボジア産ドライフルーツは、日本でも注目されるだろう」と話す。

 JFPでは、KFPのドライマンゴーのほか、自社農園と契約農園で生産するパイナップル、ローズアップルなどのドライフルーツも製造・輸出している。パイナップルは甘味が強いクイーン種。実が小さいうえに皮が肉厚で、加工効率が悪いと考えられてきたが、カンボジア人スタッフたちが皮や芯のむき方を熟知していた。家庭で子供のころからやっていたからだ。こうして生まれた無添加・無糖のクイーン種のドライパイナップルも、日本に輸出されている。

 JFPの加工作業は全て手作業だ。2016年、プノンペン国際空港近くにある郵船ロジスティクス(本社・東京都港区)の大型物流倉庫内に自社オフィス兼農産加工場を設け、製造拠点としている。カンボジア産のパイナップルやローズアップルなどを日本の技術でドライフルーツに加工して「高品質ドライフルーツ」として輸出する。

柿やミカン取り寄せ

 一方で、日本で生産した農産物を、製造コストの低いカンボジアで加工して日本やアジアの各都市に輸出することにも取り組んでいる。

 例えば、柿や、温州ミカンのドライフルーツ。日本から取り寄せたミカンは、スタッフが一つ一つ手でむき、白いスジの部分も丁寧に取る。決して機械ではできない作業だ。阿古社長が笑みを浮かべて言う。「この作業を日本で行えば生産コストがかかりすぎて、製品価格がはね上がってしまう。でも、カンボジアの人たちの手を借りることで、消費者の手に届きやすい価格で製造販売できるようになる。日本が多くの面で失ってしまった手作りの良さと高品質を、日本とカンボジアが一緒になって再現しているのではないかと思う」

 阿古社長は今後も、ドライフルーツの商品ラインアップを増やしていきたいと意気込んでおり、19年中にはリンゴやナシの商品化も実現させる計画だ。

 カンボジアは農業国といわれるが、国際的な競争力を持つ農産品や農産物加工品はまだ少ない。阿古社長は「日本はドライフルーツブーム。衛生管理基準を満たし、質の高い加工をすることで、これまでほとんどなかったカンボジア産が市場に参入することができるチャンスだと考えている」と前を見据えた。(カンボジア月刊邦字誌「プノン」編集長 木村文)