【令和経済展望】人口減社会 高齢化とダブルの重圧、人材投資カギも成果創出まで長期間

 

 「日本はまもなく最も速いペースで人口が減少する経済大国になるだろう。また人生100年時代を迎える最初の国になるだろう」

 自民党の小泉進次郎厚生労働部会長は今月3日、米ワシントンの政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」での講演でこう述べ、令和時代の日本の最大の課題は人口減と高齢化だと米国の有識者らに強調した。小泉氏の講演は、人口減問題に直面する日本を「ニューフロンティア」と位置付け、それをいかに克服していくかがメインテーマだったが、将来の人口推計を見る限り厳しい数字が並ぶ。

 国立社会保障・人口問題研究所が平成29年4月に発表した将来推計人口によると、出生率と死亡率がともに「中位」で推移する標準的なケースで、人口総数は令和2(2020)年の1億2533万人が、35(2053)年に9924万人と1億人を割り込み、42(2060)年には9284万人まで落ち込む。令和の40年間で人口の約4分の1にあたる約3200万人が減少する計算だ。サウジアラビア一国の人口が失われるのに匹敵する。

 さらに深刻なのは世代別の年齢構成の推移だ。65歳以上の高齢者の人口は2年の3619万人が42年に3540万人とほぼ横ばいなのに対し、15~64歳の生産年齢人口では2年の7406万人が42年に4793万人と、40年間で約3分の1に相当する約2600万人が減ってしまう。生産年齢人口の比率は59・1%から51・6%へ低下する。人口規模でみた日本の市場全体は4分の3に縮む上、そこにモノやサービス、社会保障を供給する国内の担い手はそれ以上のペースで3分の2まで縮小するのだ。

 人口減と高齢化のダブルパンチに対応するため、安倍晋三政権は「1億総活躍社会の実現」「働き方改革」「人づくり革命」といった政策パッケージで、限られた人材のフル活用に向けた施策を次々と打ってきた。現在は未来投資会議を中心に議論されている。

 「新卒一括採用の見直しと同時に、中途採用・経験者採用の拡大、兼業・副業の促進、個人事業主の機会の提供の拡大を図る必要がある」

 安倍首相は今月15日の未来投資会議で、こう指摘し、生産性向上や力強い経済成長のためには、とりわけ人材投資のための雇用制度改革が重要との考えを示した。6月にも取りまとめる成長戦略には、高齢者雇用の拡大に向け、希望する人が70歳まで働き続けられるよう就業機会の確保を企業の努力義務とする方針も盛り込まれる見通しだ。

 ただ、人材投資は制度を見直したからといってすぐに結果が出るものではない。働き手の能力向上には一定の時間がかかる上、既存の雇用制度を前提に生活設計をしてきた働き手も多く、改革は漸進的にならざるを得ない。

 政府高官は「人材投資の成果が出てくるまでは人工知能(AI)などテクノロジーの進化でしのぐ」と説明する。令和時代を人口減の「ニューフロンティア」とするには粘り強い努力が不可欠だ。

 令和時代の日本経済が抱える課題の一つが人口減少だ。人口減はモノやサービスを生み出す働き手とともに、消費する人の減少も招く。さらに令和時代の人口減は急速な高齢化も伴う。社会保障を受ける高齢者は増える一方で支え手の若年層は減るばかり。人口減と高齢化の同時進行に対応するため、政府は人口減のもとでも経済成長ができるよう人材投資に力を入れるが、その成果が出るまでは我慢の経済運営が続く。(桑原雄尚)

 ■将来推計人口 国勢調査や人口動態統計などのデータから将来の出生率や死亡率、入出国者数を仮定し、これらを基に、日本の総人口や年代構成がどう変化するかを50年後まで推計する。社会保障をはじめ、政府の政策や長期計画の基礎資料として使われる。国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査に合わせて約5年ごとに見直しており、長期の合計特殊出生率、高齢化率、平均寿命の推計値などを発表している。次回は令和4(2022)年に公表予定。