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超低金利に地銀の経営苦境 日銀側は政策の影響否定

 地域金融機関の経営環境が苦しさを増している。全国地方銀行協会が22日公表した会員63行の2019年3月期決算は、最終損益の合計が前期比20.7%減の6211億円と3年連続で前年割れし、日本銀行の超低金利政策による収益力の低下に鬱憤がたまっている。ただ、日銀側は原田泰(ゆたか)審議委員がこの日の講演で地銀の経営悪化は「構造的問題」だと反論するなど、両者の思惑は大きくすれ違っている。

 「今の金利状況が長期化すると、増益にもっていくのは難しい面がある」

 地銀協の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は東京都内で同日開いた記者会見でこう述べ、日銀の大規模金融緩和による超低金利が収益を下押ししていることに強い不満をにじませた。19年3月期決算では不正融資問題で多額の貸倒引当金を計上したスルガ銀行が971億円の赤字を計上したほか、全体の7割弱に当たる41行が減益だった。

 超低金利の長期化で利ざや(貸出金利と預金金利の差)が縮小したのに加え、人口や企業数の減少による地域経済の地盤沈下で貸し出し需要は減退。収益の柱と期待した投資信託や外貨建て保険の販売も米中貿易摩擦による市況の悪化に見舞われ、本業の収益力を示すコア業務純益は前期比4.9%減にとどまった。

 一方、原田氏は22日、長崎市内で講演し、銀行の経営悪化は日銀の大規模緩和の副作用が原因との指摘に対し、「日本経済全体の回復が銀行経営にプラスの影響を与えていることを無視している」と反論した。

 原田氏は、国内銀行の貸し出しは日銀が13年4月に大規模緩和を導入してから今年2月までの間に71兆円増えたが、預金は倍以上の144兆円も増加したと指摘。経営悪化は「貸出先がないのに預金が集まってしまう構造問題」で、資金運用に行き詰まる銀行が増えたためだと理解を求めた。

 ただ、経営努力を求める日銀に対し、銀行業界では「人ごとのようなことを言わないでほしい」(大手地銀幹部)と不満が漏れる。

 地銀は貸し出し競争の激化でリスクに比べ金利が低い「低採算先」への貸し出しを増やしており、経済情勢が悪化すれば大きな損失が出そうだ。日銀の試算では企業の資金需要が今後も低下すれば23年度には地銀の2割、28年度には6割が最終赤字に陥る。景気の先行きが不透明になり、地銀の経営環境はますます厳しくなる。(田辺裕晶)