海外情勢

ミャンマー、コーヒー産地でツーリズム カフェや豆加工見学施設など開業

 経済発展が進むミャンマーでコーヒー文化が急速に広がり、山間部の豆産地にも地産地消のビジネスが芽吹き始めた。農園近くで豆をひいた本格的なコーヒーを出すカフェや、取れたての豆の加工を見学できる施設が開業。「コーヒー・ツーリズム」の実現を目指す。

 国連食糧農業機関(FAO)などによると、ミャンマーのコーヒー豆の生産量は、ブルーマウンテンで有名なジャマイカよりやや多い年約8500トン。世界的に見て生産量は多くはないが、近年は品質が評価され、輸出も拡大している。

 もともとお茶文化で、市民が飲むコーヒーはインスタントが大半。豆の消費は富裕層や輸出に限られていたが、都市部に米国系などのチェーンが進出し、豆をひいたドリップコーヒーを楽しむ文化も浸透してきた。

 最大都市ヤンゴンで旅行業を営む日本人、福島孝尚さんは2016年、北東部シャン州の農村カローで民家を改装したカフェを開いた。国内生産量の6割を占めるが「豆を作るだけ」だった同州で、「農家を支援したい」と豆を直接購入し、ブラックコーヒーやカフェオレを入れる。

 ミャンマーの芸能人も来店して知名度が上がり、州内の新たな名所に。今年から座席を2倍の64席にした。長時間かけて、コーヒーを味わうためにやってくる人も多い。友人と中部マンダレーからバスで約6時間かけて訪れた男子学生、サイ・ヨッケイさんは「産地で飲むコーヒーは新鮮な味」と満足げだ。自身もシャン州でカフェを開きたいのだという。

 農園のブランド化も

 より標高が高く、高品質の豆が取れる同州ユワンガンでは、欧米にも豆を輸出する地場大手「ジーニアス」が昨年12月、1万4000平方メートルの工場兼見学施設を完成させた。200カ所の契約農家から運ばれた豆の洗浄、乾燥、選別、焙煎など一連の工程や観光農園を見学し、試飲した上で新鮮な豆を買える。

 「来訪者がコーヒーについて学べる場にしたい」と、幹部のレイ・レイ・ミンさん。1つの農園だけで取れた豆をブランド化した「シングルオリジン」も販売し、生産者の意欲向上につなげるという。(カロー 共同)