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政府、WTOの制度不備訴え 日本産の水産物禁輸、G20で挽回躍起

 政府は、韓国による日本産水産物の輸入禁止措置を容認した世界貿易機関(WTO)の判断をめぐり、今月下旬の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に向けて攻勢を強めている。日本敗訴が確定した判断に対し「WTOの制度に不備があり、日本産食品に問題があるわけではない」(外務省幹部)と改革の必要性を積極的にアピールする意向だ。挽回に躍起なのは、敗訴を覆すための手続きがなく、韓国もWTO判断を盾に規制解除に応じないことが背景だ。

 「G20として議論の後押しが必要だ」。河野太郎外相は9日に茨城県つくば市で開かれたG20貿易・デジタル経済相会合で、WTOの制度改善が急務だと訴えた。閣僚声明には、議長国の立場を生かし「WTOの紛争解決制度に関し行動が必要」との合意事項が盛り込まれた。

 政府が問題視するのは、WTOで最終審となる2審の上級委員会の在り方。日本産水産物をめぐる4月の2審判断は、韓国の禁輸措置はWTO協定違反とした「1審」の紛争処理委員会判断を取り消した。ところが、取り消しの根拠は1審審理の「分析が不十分」との指摘にとどまり、韓国の禁輸措置がWTOのルール上妥当かどうかの判断は示されないままだった。

 1審は韓国の禁輸措置を不当な差別との論拠を示し、日本産食品の安全性を認めていた。2審でも同様の判断をもらい、日本産食品の安全性にお墨付きを得て、輸入規制を続ける23の国・地域との交渉に弾みをつける戦略を描いていたが、もくろみが外れた。

 敗訴確定は、被災地復興への足かせになりかねない-。

 危機感を強めた政府は、局面の転換に向け、安倍晋三首相が議長を務めるG20大阪サミットに照準を合わせる。首相は日本への注目が集まる国際舞台を最大限に活用し、WTO改革の方向性を打ち出し、日本産食品の安全性を訴えようと狙う。

 政府関係者によると、各国との事前の事務交渉の中でも、改革機運を盛り上げようとWTOの制度が不十分だと働き掛けている。

 WTOをめぐり各国は、改革の必要性という「総論」では異論がないものの、「具体的にどう改善するかの各論に入ると、議論百出でまとまりがない」(外務省関係者)のが実態だ。韓国を含めた2国間協議も難航している。日本の取り組みによってG20サミットで何らかの成果が得られるかは見通せていない。