【骨太】地銀経営統合促進、収益環境悪化に対応
成長戦略では地方銀行の経営統合を後押しする独占禁止法の例外ルールを盛り込んだ。業績悪化が続き地域の金融サービスに支障が出る恐れがある場合、貸し出しシェア(占有率)が高くなる統合でも柔軟に容認する方針を打ち出した。人口減少や長引く超低金利環境で地銀の収益環境は急速に悪化しており、疲弊した地域経済の立て直しに向け規制緩和で助け舟を出す。
「選択肢が広がるのはいいことだ。将来を見据えた戦略を実現する手段だ」
全国地方銀行協会の会長に今月就任した常陽銀行(水戸市)の笹島律夫頭取は、政府方針を歓迎する。
地銀は貸出先の減少や日本銀行のマイナス金利政策などによる利ざや(貸出金利と預金金利の差)縮小に直面し、日銀の試算では10年後には全体の約6割が最終赤字に陥る見込み。「合併を検討しない会社のほうが少ない」(地銀大手関係者)という苦しい状況だ。
ただ、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と長崎県を地盤とする十八銀行の経営統合計画は、昨年8月に公正取引委員会が承認するまで審査が2年以上に及び、長崎県内でのシェアを下げるため両社が多額の債権譲渡を迫られた。
公取委の厳しい対応に、「統合計画の推進を尻込みする地銀が出る」との懸念もあり、金融業界から対応を求める声が出ていた。
米中貿易摩擦の悪化を背景に米欧の中央銀行が利下げを含む金融緩和の検討にかじを切り、日銀も近く追加緩和を迫られるとの観測がある。地銀が期待した金利引き上げなど緩和の正常化策は当面難しく、収益環境改善には時間がかかる。
経営統合で規模が拡大すれば運用できるお金や貸出額が大きくなる上、事務部門の一元化などスケールメリットを発揮できる。今回の規制緩和は地銀再編の起爆剤になる可能性がある。(田辺裕晶)
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