【骨太】伸び悩む生産性… 企業や働き手の行動促せるか焦点
21日に閣議決定された経済財政運営の指針「骨太方針」や新たな成長戦略、規制改革実施計画は、人手不足を和らげるとともに多様な働き方を促すための雇用改革や地方活性化などに軸足を置いた。ただ、日本の中長期的な経済成長につながる生産性は伸び悩む。生産性の底上げや日本経済の成長力強化を実現するには企業や働き手の行動を促せるかが鍵となりそうだ。
「少子高齢化という日本が直面する最も高い壁にどう対応していくか、令和の時代の新しい日本のあり方などを前面に据えた」。茂木敏充経済再生担当相は閣議決定後の記者会見で骨太方針についてこう述べた。
骨太方針や成長戦略などは、潜在的な働き手の掘り起こしに着目。70歳までの就業機会の確保や、高齢者の働く意欲をそいでいるとの声もある在職老齢年金制度の将来的な廃止も視野に入れた見直しを打ち出し、長く働く人を増やす姿勢を示した。就職氷河期世代への支援策なども記した。
ただ、足元で日本は生産性低迷に直面している。
生産性をはかる物差しの一つに働き手がどれだけ効率的に成果を生み出したかを示す「労働生産性」がある。日本生産性本部によると平成29年の日本の労働生産性は時間当たり、1人当たりのどちらの指標でも米国の約3分の2。先進7カ国(G7)では最下位だ。
また技術進歩や効率化を反映するとされる「全要素生産性」も低空飛行だ。内閣府によると、経済の基礎体力を示す潜在成長率に対する全要素生産性の寄与度は今年1~3月期に0・3ポイントで第2次安倍晋三政権発足当時の24年10~12月期の1・0ポイントを大きく下回り、技術進歩につながる取り組みの不足を示している。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次氏は「政権発足から約6年半が過ぎ、潜在成長率が上がらない、特に生産性が伸び悩んでいるという問題が如実に表れている。生産性が上がらないと、賃金も上がらない」と指摘。「企業が創意工夫する土台をつくるのは政府の役割だが、企業も人材投資や新規ビジネスなどに前向きに取り組むことが必要だ」と話した。(森田晶宏)
関連記事