G20サミットで日本の知見出番 プラごみ削減、技術革新リード

 
インドネシアの海岸にたまったプラスチックごみ =2018年4月(ロイター=共同)

 28、29日に大阪市で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、世界的な関心が高まるプラスチックごみによる海洋汚染問題への対応がテーマの一つだ。地球規模での汚染拡大には、先進国だけなく新興国や途上国まで巻き込んだ対策が不可欠。プラごみ削減に向けた技術開発が進む日本メーカーの知見が生かされそうだ。

 日本は、2035年までにすべてのプラごみを有効利用する目標を掲げる資源循環戦略のほか、海洋流出を防ぐための行動計画を5月に決定した。カナダや欧米でも使い捨てプラスチック製品を禁止する動きが進む一方、新興国などではごみ収集の仕組みさえ整備されていないケースも多い。

 プラごみ削減に向けた技術開発をめぐっては、日本メーカーに一日の長がある。

 ペットボトルを扱う飲料メーカーでは、キリンビバレッジがリサイクル素材100%のペットボトル商品を投入したほか、三菱ケミカルは微生物の力で自然分解される植物由来の「生分解性プラスチック」を開発しコップなどに活用される。

 木造注文住宅メーカーのアキュラホーム(東京都新宿区)は、スライスした間伐材などを巻いた木製ストローの量産化に成功した。

 サミットで技術革新の重要性が共有されれば、日本のプラごみ削減技術の海外展開にもつながる。

 世界では年800万トン以上のプラごみが海へ流出しているとされ、50年には海洋中のプラごみの重さが魚の重さを上回るとの試算もある。流出したプラごみが紫外線や波で5ミリ以下に砕かれた「マイクロプラスチック」は有害物質が含まれたり付着しやすかったりし、魚など海の生態系への影響が懸念される。流出量のうち4割以上は先進国以外のG20各国からで、新興国が対策に踏み出せるかが解決の鍵を握る。

 日本は昨年6月の先進7カ国サミットで、安倍晋三首相が「途上国を含む世界全体の課題」として「海洋プラスチック憲章」の参加を見送った経緯がある。今サミットでの合意を地球規模の課題解決に向けた一里塚とし、プラごみ問題解決の牽引(けんいん)役としての地位確立を目指す。

 このほかG20では、「世界経済」や「イノベーション」「格差・インフラ」の議題も話し合う。

 米中貿易摩擦に伴う世界経済のリスクでは、首脳宣言でどういったメッセージが盛り込まれるかが焦点。昨年、アルゼンチンで開かれたG20サミットでは、それまでの首脳宣言にあった「保護主義と闘う」という記載が削除された。米国の反発が予想され、今回も明記されない見通しとなっている。

 イノベーションでは、プライバシー保護や知的財産権などに配慮しつつ、自由なデータのやりとりをするためのルールを話し合う枠組み「大阪トラック」の創設を目指す。(佐久間修志、蕎麦谷里志)

                  ◇

技術革新による企業のプラスチックごみ削減の取り組み

 ・セブン-イレブン・ジャパン

  全てのおにぎりの包装に植物由来のプラスチックを順次導入

 ・キリンビバレッジ

  リサイクル樹脂100%のペットボトル商品を6月から順次採用

 ・三菱ケミカル

  微生物の力で自然分解される「生分解性プラスチック」を開発

 ・アキュラホーム

  間伐材などをスライスして巻いた木製ストローを量産化

 ・はるやま商事

  再生ポリエステル生地100%のワイシャツを開発

 ・日本製紙

  紙をベースにしたフィルム相当性能のバリア素材を開発

【用語解説】G20

 日本、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリアの主要7カ国(G7)に、中国、インドなど新興国を加えた20カ国・地域のことで、定期的に首脳らが集まり、世界経済の課題などを話し合う。以前はG7が集まって議論していたが、アジア通貨危機後の1999年、G20に拡大して財務相・中央銀行総裁会議をスタート。リーマン・ショック後の2008年には、首脳会議(サミット)が開かれるようになった。