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政府、日本郵政株売却めど立たず かんぽ問題響き株価低迷

 政府が保有する民営化企業の株式に売却のめどが立っていない。今秋にも売却する準備を整えていた日本郵政株は、傘下のかんぽ生命保険の不正販売問題が響き株価が低迷。郵政の次の焦点とされる東京メトロ株の売却も、大株主の政府と東京都の間で温度差が大きく議論は停滞している。

 郵政株は、2015年の上場時と17年の計2回の売り出しで約2兆8000億円を調達。次回の売却で政府の保有割合は約3分の1になり、実質的な民営化が完了する。財務省は5月末に売却の実務を担う主幹事の証券会社を選定。市場では準備期間を経て消費税増税前の9月ごろの売却が見込まれていたが、郵政グループの調査委員会の報告や金融庁の処分などで「不正問題に打ち止め感が出ないとどうしようもない」(関係者)との声が出ている。

 政府は郵政株の売却益で東日本大震災の復興財源を4兆円程度確保する計画。残り約1兆2000億円の売却収入を得るには単純計算で1株1130円台が目安となるが、9日終値は1005円と下回る。復興財源確保法では22年度までの売却が定められているが現在の株価水準では想定する財源を確保できない状況だ。

 政府が約53%、東京都が約47%の株式を握る東京メトロの民営化も一筋縄ではない。両者は10~11年に民営化に向けた協議会を4回開いたが、都営地下鉄との統合をめぐって意見が対立。都営地下鉄の累積債務もあり統合の効果を見いだせないとする政府に対し、都側はメトロ株の売却よりも、都営地下鉄との一元化を展望しつつ、サービス面での連携を進めている。

 双方が保有割合を保ったまま段階的に株式を売却する案も浮上し「完全な民営化はもはやあり得ない」(関係者)との声も聞こえるなど、進展には時間がかかりそうだ。