高論卓説

独りカッカ、「反日」をもてあそぶ韓国の行く末

 時代錯誤、100年遅れの独立闘争ごっこ

 これはまるで「独立闘争ごっこ」だ。韓国で燃え盛る「反日」の動きから受ける印象である。今や経済的には先進国である韓国に、「独立」うんぬんと言うのは妙かもしれない。だが昔の日本統治への恨みつらみに根ざす「反日」は、一向に鎮まる気配がなく常軌を逸している。

 文在寅大統領は15日の光復節の演説で日本との「対話と協力」にも触れたが、軟化したとは額面通りには受け取れない。この演説でも、日本の対韓輸出管理厳格化を「不当な輸出規制」「経済報復」と決めつけ、自分たちの非は棚に上げた。

 韓国メディアは「韓国政府は日本が『主敵』であるかのように扱い…」と書いてきた(朝鮮日報日本語版2月3日)。さらに韓国は「100年前にまで時計を逆回転させ『抗日闘争』に熱を上げている」(4月17日)とまでいう。

 日本統治下の朝鮮半島で100年前に起きた「三・一独立運動」を記念する今年3月の式典で、文大統領は「親日残滓(ざんし)の清算」が重要課題だと演説した。独立して74年もたって、日本への協力者をまだ追及しようというのだから恐れ入る。

 「反日」は今や何でもありの様相を呈している。日本が持ち込んだとする樹木を伐採したり、果ては韓国語に溶け込んでいる日本語を追放しようとしたり、手あたり次第だ。「大統領」からして日本語由来なので、徹底的に日本語狩りをしたら、韓国人は困るのではないか。ここまでくると、滑稽である。

 韓国外務省は自衛隊が使う「旭日旗」に「軍国主義、帝国主義の象徴」だとクレームをつけた。米国や中国などのかつての交戦国や東南アジア諸国も問題視していないのに不思議だ。歴史問題では日本に謝罪を繰り返し求めてきた。マレーシアのマハティール首相の「我々は過去は過去として捉えるべきだ。日本はすでに謝罪している。1度で十分だ」(日本経済新聞8月8日付)という言葉はどう聞こえるのだろうか。

 韓国が度を越してヒステリックになったのは、日本の戦略物資の対韓輸出管理厳格化に逆切れしてからだ。文大統領は「二度と日本に負けない。勝利の歴史を作る」と宣言し、「加害者の日本が盗っ人たけだけしく騒いでいる」とも述べた(聯合ニュース8月2日)。韓国では「日本の経済侵略」や「経済戦争」という物騒な言葉が飛び交う。

 韓国政府は対日輸出管理強化で対抗し、与党は戦争犯罪に関係したとする日本企業と政府機関が随意契約するのを禁じる立法化に乗り出した。しかし実際には輸出手続きを厳しくチェックするだけの話だ。炭素繊維のメーカーの経営者は「きちんとやっているので、影響が出るとは思わない」と言っている。いわゆる「徴用工」問題で韓国側の「戦犯企業」リストに載る大手メーカーの経営者も「影響はさほどないのではないか」とみる。現に輸出許可がおりたケースがある。

 韓国が独りカッカしてやっているのは「独立闘争ごっこ」といえる。際限のない反日現象を「韓国人は勝利できなかった未完の対日独立戦争をそんなかたちで今もやっているのだ」。文芸春秋9月号で、こう指摘する産経新聞の黒田勝弘ソウル駐在客員論説委員は説得力がある。

 「徴用工」裁判の原告が差し押さえた日本企業の資産の現金化を文大統領がもし黙認すれば、日韓関係は外交も経済も土台を失う。韓国は「反日」をこれ以上もてあそぶべきではない。

【プロフィル】森一夫

 もり・かずお ジャーナリスト。早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は『日本の経営』(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。