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「デジタル課税」仏先行導入に米反発 ルール作り 多難な各国協調

 巨大IT企業などの税逃れを防ぐ「デジタル課税」のルール作りが試練に直面している。国際合意を待たず先行導入したフランスに対して有力IT企業を多く抱える米国が猛反発し、思惑の違いが露呈。新税はフランスで24日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)の主議題の一つとなるが、協調は多難だ。

 G7サミットで協議

 「経済のデジタル化がもたらす税制上の課題は差し迫っている」。サミットの準備会合である7月のG7財務相・中央銀行総裁会議を仕切ったフランスのルメール経済・財務相は、議長総括で危機感を強調した。

 現在は支店や工場など、企業の物理的な拠点のある国が課税できるのが原則。インターネット広告・通販やSNS(会員制交流サイト)には対応できておらず、米グーグルなど「GAFA」と呼ばれるIT大手が税をわずかしか払っていないとの不満が各国で渦巻く。

 税制見直しは、約130カ国・地域が入る枠組みが(1)拠点がなくてもITサービスなどの利用者の多い国で課税可能とする(2)低税率国への利益移転を防ぐため法人税の最低税率を定める-という2本柱で議論している。これに沿い来年中の合意を目指す方針をG7財務相らは支持した。

 もっとも、7月のG7では「混乱はなかったが、大きな進展もなかった」(日本の同行筋)。

 影を落としたのは、IT大手のネット広告などの売り上げに対するフランスの独自課税だ。暫定措置だというが、G7直後に税法を施行すると、新税の「IT狙い撃ち」に反発してきた米国は制裁を視野に調査を始めた。

 G7議長総括は国際ルールをめぐる議論の融和を狙い、ITに対象を絞る英国案と、業種を限らず企業のブランド価値などに着目して課税する米国案の双方を記してみせたが、トランプ米大統領は、フランス産ワインへの追加関税を示唆。貿易紛争に飛び火しそうな状況に、日本の財務省幹部も「米仏対立は注視している」と不安を隠さない。

 国際ルール作りの道は険しい。米国案では自動車産業なども含まれかねないと日本の経済界やドイツが警戒。最低税率の設定にはフランスやドイツが熱心な一方、法人税率が相対的に低いアイルランドなどは慎重だ。

 引くに引けぬ事情

 他方、英国が来年4月開始に向けたデジタル課税法案を公表するなど先行導入の動きは続く。新税が乱立すれば、企業が税を二重に徴収されるといった混乱は必至だ。

 東京財団政策研究所の岡直樹研究員は「内政に四苦八苦する英仏にとって、独自課税が自国優先の姿勢を国内に発信するメッセージになっている」と引くに引けない事情を指摘。国際合意が遅れれば「多くの国の税務当局や企業の不利益になる」と警鐘を鳴らした。