IR整備法 日本で成立1年 米カジノ大手売り込み加速
カジノ解禁を含む統合型リゾート施設(IR)整備法が成立して1年余り。日本でカジノを開業しようと、本場米国のカジノ大手が売り込みを加速させている。日本では経済効果や雇用創出への期待が大きい一方、ギャンブル依存症増加への懸念も根強い。
最大1.6万人雇用
「東京や大阪、横浜といった大都市に進出したい」「最大1万6000人を雇用する」。ウィン・リゾーツ日本法人のゴードン社長は7月24日、米東部ボストン近郊で日本メディア向けの説明会を開き、日本進出に意欲を示した。
説明会の会場は6月に開業したIR「アンコール・ボストンハーバー」。治安悪化を心配する地元の声に応え、地元警察が20人超の人員を増やすための費用をウィンが負担。周辺の道路整備にも6500万ドル(約68億円)以上を投じるなどして開業にこぎ着けた。カジノへの警戒感が強い日本を意識し、6.5キロ先にハーバード大がある文教地区にも受け入れられた実績をアピールした。
ウィンは現在、IR誘致を目指す大阪府・市への進出に名乗りを上げている。オリックスとタッグを組むMGMリゾーツ・インターナショナルなどがライバルだ。
米カジノ大手が目指すのは大都市だけではない。モヒガン・ゲーミング&エンターテインメントは6月に「東京やソウル、上海の避暑地として理想的。冬はスキーが楽しめる」などとして北海道苫小牧市への進出計画を発表。ハードロック・インターナショナルも北海道に照準を定める。
日本進出を目指すのは「ラスベガスでカジノ需要が頭打ちになり、事業を広げにくくなった」(業界関係者)という事情も。
ラスベガスではカジノの客も「中国人が中心」(ディーラー)。各社は近年、中国や東南アジアの富裕層がアクセスしやすいマカオやシンガポールで事業を拡大してきただけに、観光立国を掲げる日本のカジノ解禁は魅力的に映る。
安全網が最大課題
ギャンブル依存症対策として、IR整備法では日本人客には週3回、月10回のカジノ入場制限に加え、入場料を6000円に設定した。
依存症対策に詳しいネバダ大ラスベガス校のバーンハード氏は「シンガポールでは2010年に初めてカジノが開業した後、対策や治療を進めた。その結果、ギャンブルで仕事や人間関係などに問題が生じた人や病的なレベルの人の割合は、解禁前よりもむしろ下がった」と話す。
同氏は「日本でも海外の知見を活用できる」と指摘する。日本政府は20年代半ばのIR開業を目指すが、政府や自治体にとっては実効性のある安全網をどう整備するかが最大の課題となりそうだ。(共同)
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【用語解説】統合型リゾート施設(IR)
収益の柱となるカジノのほか、国際会議場、ホテルなどを一体整備した巨大集客施設。昨年7月にIR整備法が成立し、日本でもカジノ営業が解禁された。同法は第1弾の整備区域を最大3カ所としている。都道府県や政令指定都市が事業者と連携して計画を提出し、国が経済効果などを評価して選定する。大阪府・市と和歌山県、長崎県などが誘致を目指している。最近では横浜市も誘致を表明した。(共同)