7月分の景気動向指数、基調判断「下げ止まり」維持

 

 内閣府が6日発表した7月分の景気動向指数(速報値、平成27年=100)によると、景気の現状を示す一致指数は前月比0・3ポイント上昇の99・8で、2カ月ぶりに上昇した。事前に定められた基準に機械的に当てはめて決める基調判断は、景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す「下げ止まり」に据え置かれたが、消費税増税直後の来月7日に発表される8月分では景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」に再び引き下げられる可能性も指摘されている。

 一致指数を構成する9つの指標のうち速報値で入手できるのは7つで、今回は5つが上昇に寄与。自動車関連の堅調な動きなどを追い風に、鉱工業生産指数や耐久消費財出荷指数などが一致指数を押し上げた。

 基調判断は3月分で6年2カ月ぶりに悪化となり、4月分も悪化で据え置かれた。5月分では生産や出荷の持ち直しで下げ止まりへ上方修正され、6月分も下げ止まりとなっていた。

 内閣府は基調判断が悪化に引き下げられる条件として、一致指数について、(1)月々の変動をならした3カ月移動平均が原則3カ月以上連続で低下する(2)その月の一致指数が前月比で低下する-の2つを挙げる。

 3カ月移動平均は6、7月分が低下で、8月分も低下を予想する向きが多く、(1)の条件は満たす公算が大きい。このため8月分の基調判断が悪化となるかどうかは、(2)の条件に関わる8月分の一致指数の動向が焦点だ。エコノミストの間では「8月分の一致指数が前月比で低下する可能性は5割を超えるように思える」との見方が浮上。一方、消費税増税前の駆け込み需要で生産などの指標が強めに出て、下げ止まりで維持される可能性も残る。

 また、8月分の景気動向指数の発表は、増税から約1週間後というタイミングだ。消費者が景気の動きに敏感な中、基調判断が再び悪化になれば「『なぜこのような状況で増税を実施したのか』といった批判が政権に向かう可能性もある」と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は指摘する。

 政府としての正式な景気判断は月例経済報告で示される。とはいえ、5月分で上方修正されたばかりの景気動向指数の基調判断が短期間で悪化に逆戻りするようなら、「すでに景気はピークアウトしたのではないかとの見方が強まる」(小林氏)のは避けられない。