スタートアップ企業が盛況 東南アジアで自転車配達など展開
配車、配達、金融…。東南アジアで創業間もない「スタートアップ」企業が盛況だ。経済成長は著しいが、インフラ整備が行き届かず、生活が不便な地域も少なくない。改善すべき課題が多いことがビジネスチャンスにつながっている。
年々渋滞がひどくなるミャンマーの最大都市ヤンゴンで、平日の朝9時すぎ、宅配用の箱を背負った配達仲介サービスの配達員の若者たちが自転車に乗り、次々と市内各地に出発していった。
サービスはヤンゴン在住の高田健太さん(大阪市出身)が昨年始めた。大手商社の駐在員を経て起業。物流網に問題が多く「市内でも配達に最低2日かかる」状況を改善したいとの思いから、スマートフォンのアプリを使い、届けたい物品がある人や店と、契約配達員を結び付ける事業を始めた。自転車で配達するため渋滞の影響を受けず、料金は1回2000チャット(約141円)ほどだ。「購入品が当日届くこと自体が画期的」で評判だという。
日本総研の岩崎薫里上席主任研究員は、2000年半ばから徐々に出てきた東南アジアのスタートアップは「ますます盛り上がっている」と話す。経済成長で中間層が増加して購買力が高まり、スマホが普及し提供できるサービスも増えたことが背景にあるという。
成功例としては東南アジア8カ国に広がる配車サービス「グラブ」が知られる。例えばタイではタクシーの乗車拒否や不明朗な料金が社会問題化していたが、明朗会計になり、アプリで事前に行き先を運転手に伝えることもできるようになったことから人気を呼んだ。
経済成長を促す一助として、スタートアップを奨励する国も多い。タイ政府は、約1700社あるというスタートアップを、21年までに約3000社に増やす計画だ。商務省通商振興局のウィタヤコーン副局長は、タイにはサービス業を中心に魅力的なスタートアップがあると強調。「日本企業とも連携した形で」事業展開がさらに進むことを期待した。(ヤンゴン、バンコク 共同)
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