「おでん用は対象外にして」 レジ袋有料化に気をもむコンビニ業界

 

 コンビニエンスストアやスーパーなどのレジ袋の有料化検討会の初回会合が26日に開催されたが、今後の最大の争点となるのが、有料化開始の時期だ。政府が提示した案では、11月までに方針を取りまとめ、12月に制度改正したうえで、来年の4月1日からの実施となっている。だが、26日の会合では、コンビニやスーパーなどの小売業界では、現場での対応が間に合わないため、実施を遅らせるよう、強い要望が相次いだ。どう決着をつけるのか、せめぎ合いが続くことになる。

 「レジ袋をやめ、エコバッグやマイバッグの利用となれば、店頭のスタッフが袋詰めするのに時間がかかってしまうし、お客さまが袋詰めするのなら、そのスペースを確保するための店舗の大がかりなレイアウト変更が必要になる。全国で同一のサービスの提供が必要な業種であり、数カ月では対応できないことを考慮してほしい」

 会合で実施時期の先送りを最も強く要望したのはコンビニ業界だ。コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会の担当者がこう要望した。

 要望事項はこれにとどまらない。「例えばコンビニの(カウンターで販売する)おでんのような汁物などは、エコバッグでは対応しづらいのが実情。グラタンなどかなり熱くなる商品もある一方、冷凍品など温度帯の異なる商品を扱っていて、同時に販売することも多い」と説明。そういった商品のレジ袋については「有料化の対象外にしてほしい」と強調した。

 また、コンビニ業界が環境への影響が少ないバイオマス原料由来のレジ袋開発・導入を進めている中で、「これらも有料化されるとなれば、(コンビニ)業界としてはもはや“詰んでいる”状態」と、打つ手がないといった態度だ。

 今回の会合ではスーパーマーケットの業界団体からは、「制度が決まった後にレジ袋の新たな仕様変更が必要になり、約6カ月必要だ。実施には一定の猶予期間がほしい」と、2~3カ月でも実施を遅らせてほしいといった要請もあった。ドラッグストアの業界団体からは、「万引被害が多い業界で、マイバッグは難しい環境だったが、今後はレジ袋有料化で対応する」と、取り組む方向の説明があった。

 コンビニ業界は、政府の方針をそのまま向け入れるには「時間が必要」というスタンスを明確にした。全国のコンビニでは約150万人のスタッフが接客するが、「有料化などの周知がなくては、150万人がトラブルの矢面に立つ。コンビニを利用される方の中には、テレビやニュースを見ない人もいる」として、レジ袋有償化について政府がしっかり周知するよう注文をつけた。(平尾孝)