消費税10%、説明会7万回も…還元策や仕組み、周知に懸命
消費税率が10月1日、現在の8%から10%に引き上げられる。消費税の増税は平成26年4月以来、5年半ぶり。今回の増税では低所得者の負担を和らげるため、酒類を除く飲食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率制度」が初めて導入される。
■年4・6兆円の税収増を見込む
消費税率引き上げは、少子高齢化で社会保障費が増え続ける中、安定財源を確保するのが狙い。政府は増税と同時に、これまで高齢者向けに重点を置いてきた社会保障政策を子育て支援の強化など現役世代も含む「全世代型」へ転換する。
増税で年約4・6兆円の税収増が見込まれ、このうち約2・8兆円は幼児教育・保育や高等教育の無償化といった社会保障の充実に充て、残りの約1・8兆円は財政再建に回す。
過去の増税時に消費が大きく落ち込み経済を腰折れさせた反省から、総額6兆円を超える景気対策を講じており、キャッシュレス決済に伴うポイント還元や低所得者や子育て世代を対象にしたプレミアム付き商品券の発行を行う。10月1日からポイント還元に参加する中小事業者の店舗数は約48万8千店に上る。税制措置として住宅ローン減税の拡充なども行った。
■850万の事業者に「ガイド」
今回の消費税増税に関し、政府は増税の仕組みや景気対策の周知に懸命だ。線引きの複雑さなどから売り場の混乱が懸念される軽減税率制度については、国税庁が税務署や商工会議所などを通じ、全国で約7万回の説明会を実施。約850万の事業者に「申告ガイド」を送付した。
現金を使わず買い物するキャッシュレス決済に対するポイント還元策に関しても、経済産業省が全国で説明会を行い、8月末以降は、ポスターといった消費者向けの店頭用広報素材を対象店舗に発送。9月20日には、対象店舗が検索できるスマートフォン向けの地図アプリも公開した。
ただ、アプリに関しては、「検索機能が十分でない」といった利用者の苦情も相次いでいる。
このほか、政府広報のホームページ上には「知ってほしい! 消費税のこと。暮らしのこと。」という特設サイトが設置された。「幼児教育・保育の無償化」「軽減税率制度」「ポイント還元制度」などのテーマごとに動画を交えながら説明し、増税の必要性や理解を呼びかけている。8月以降はテレビCMや新聞広告でも増税の必要性を訴えた。
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