中国製の軍事ドローン「彩虹4号」(上)射撃能力向上目指す
中東・アジア向けに700億円超輸出
欧米製手本か? 中国側は「独自」強調
中国が開発した軍事用ドローン「彩虹4号(CH-4)」は中国軍事史上、最も重要な輸出品の一つだ。2014年後半の導入以来少なくとも30機、約7億ドル(約754億円)相当が中央アジアや中東の軍隊に納入されている。知られざる性能をリポートする。
射撃能力向上目指す
CH-4は中国国営の中国航天科技集団公司(CASC)の下部組織である中国航天空気動力技術研究院(CAAA)が、変化する戦場の課題に迅速に対応すべく、中高度長時間滞空(MALE)できる飛行能力を備えた無人航空機(UAV)として耐久性、射撃能力の向上を目指した。
CH-4はCAAAの特殊航空機事業部が開発・製造した第4世代プラットフォームだ。この航空機は米UAV製造大手ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)製の「MQ-1プレデター」と「MQ-9リーパー」の設計からヒントを得たように見える。しかしCAAAはジェーンズに対し、「CH-4の設計は基本的に白紙の状態から始めており、航空機構造や搭載アーキテクチャーの点で米国の航空機とはほとんど類似点がない」と説明している。
CH-4はCAAAが製造に成功した国産の戦術級「CH-1」と「CH-2」のプラットフォームをベースに作られているが、両機の最大離陸重量(MTOW)は前者が140キログラム、後者が220キログラムだ。両機は中国人民解放軍の砲兵隊の超水平線照準および戦場損害査定(BDA)ミッションのために、650キログラムの輸出志向型CH-3とともに獲得された。
アフガニスタンとイラクでの合同作戦を支援するMQ-1とMQ-9の性能を観察した上でCAAAは離れた距離から持続的に偵察でき、さまざまなセンサーや武器、武装貨物を積載できる次世代航空機を求めた。
CAAAの技術者は前述の米国製航空機の調査を09年2月から1年間にわたり実施、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)製「ヘロン-1」など他国の設計についても同時に調査し、自社製品の開発に役立てた。
CAAAはCH-4の別バージョン2タイプを開発したが、これらはCASCの輸出入部門である中国航天長征国大貿易(ALIT)が中国国外に販売している。「CH-4A」はMTOWが1260キログラム、主に偵察用に構成され、飛行滞空時間は30時間だ。攻撃志向型の「CH-4B」は345キログラムの積載が可能だが、飛行滞空時間は14時間と短い。
CH-4は暗号化Cバンド帯(4~8ギガヘルツ)データリンク装備の固定型または移動型の地上管制ステーション(GCS)経由で指令が可能だ。衛星通信機能を備えたCH-4は隆起した先端部で見分けることができ、ここに0.7メートル径の衛星アンテナと関連モデムインターフェースを収容する。
基本のCH-4は出所非公開の輸入品100馬力ピストンエンジンを備えており、これが3翼の可変式ピッチ推進プロペラを動かし、巡航で時速180キロ、最高時速235キロを実現、最高滞空時間は40時間だ。また、実用上昇限度は2万3622フィート(7200メートル)だが、ミッションは通常、高度9842~1万6404フィートの間で実行される。
CAAAはしかし、このピストンエンジンを国産の重質燃料エンジン(HFE)推進システムに置き換え、CH-4の飛行エンベロープと性能をさらに拡張しようと計画している。CAAAは仕様を公開しなかったが、ジェーンズではCAAAがCH-4の滞空時間を50時間に、積載能力を400キログラムにまで拡張、それに対応して実用上昇限度も2万9527フィートに向上させられる複数の134~150馬力級HFEを評価しているとみている。
CAAAはHFEが燃料消費量を20%削減し航空機の離陸距離を大幅に短縮、これにより戦術的柔軟性を向上させ、使用できる滑走路空間が限られている厳しい飛行場環境への配備も可能になると期待している。
ヘリコプターや軽攻撃機のような有人プラットフォーム向けに適合した軽量空対地武器弾薬でUAVを武装しようとするこれまでの西欧諸国の取り組みとは異なり、CAAAはUAVへの配備に特化して設計された精密誘導弾(PGM)を展開している。これらPGMには、45キログラムの「AR-1」や20キログラムの「AR-2」対機甲ミサイルなどがある。
基本となるAR-1は慣性航法装置(INS)と最高8キロメートル先の軽武装の標的や建物と交戦するための準アクティブレーザー(SAL)誘導を採用した。
AR-1は10キログラムの爆裂破砕性または貫通性弾頭を装備し、最高移動速度はマッハ1.1である。発射前ロックオン(LOBL)と発射後ロックオン(LOAL)性能も備えており、最大距離での迎撃時の平均誤差半径(CEP)は1.5メートルに相当する精度を持つ。
一方、AR-2は5キログラムの貫通性弾頭を装備、稼働距離は同等だが、最高移動速度は時速約700キロだ。CAAAによると、AR-2は基本的にAR-1より軽量で性能の低いバージョン。こちらを使うことで高価値ターゲット向けの重いAR-1ミサイルを節約できるという。
偵察以上の能力検討
CAAAは昨年の「中国国際航空宇宙博覧会(エアショー・チャイナ)」で新たな80キログラム級PGM指定「AR-1B」を公開したが、これは基本的にはAR-1ミサイルの大型・高性能バージョンだ。AR-1Bは最高移動速度マッハ1、最高距離10キロメートルで、通常は高度1640フィートから1万6404フィートの間で発射されるという。
CAAAでは、CH-4のミッション遂行能力を武装監視や偵察以上に拡張することも模索している。
CAAAはエアショー・チャイナに、海上の偵察・攻撃ミッション用のCH-4も展示した。これは衛星通信対応長距離統制(C2)機能、先端搭載型電子光学/赤外線センサー砲塔、および広範囲の船舶および物体の検知・分類のための腹側空挺海上偵察レーダーポッドを特徴としている。
CAAA幹部は「この航空機のような海事指向型プラットフォームは、距離の向上や攻撃準備滞空偵察の航続時間、またこうしたエンジンがもたらす可能性のある作戦高度を考えると、HFE推進機関として理想的な候補といえる。また、こうしたシステムは概して低コストで運用上のメンテナンスも少なくて済む」と語った。(軍事アナリスト ケルヴィン・ウォン)=次回は10月10日に掲載します
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