「日米貿易協定」国会審議で与野党攻防
今国会最大の焦点となる日米貿易協定の承認案は24日、衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。安倍晋三首相と茂木敏充外相が出席。与党は政府の交渉成果に理解を示す一方、野党は不平等な協定と訴え承認しない考えを強調した。政府は協定承認案を11月8日までに衆院通過させ、米側が求める来年1月の発効を確実にしたい構えだ。
米国側は日本に対する関税削減や撤廃が一部にとどまっているとして、特例措置に基づき、議会手続きを簡略化する意向。日本の国会で承認されれば協定発効の条件が整う。
論戦で立憲民主党などでつくる会派の玄葉光一郎氏は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で米国が日本に認めた自動車関税撤廃が今回の協定では得られていないとして、日本の農産物関税を「TPP水準まで引き下げる必要はなかった」と訴えた。
安倍氏は、米国が日本の自動車に追加関税を発動しないことを約束したと意義を強調。自動車以外の工業製品では幅広い品目が関税撤廃や削減の対象となったとして「バランスが取れた内容だ」と主張した。茂木氏も「日米の経済的結びつきが強固になる」と意義を説明した。
玄葉氏は、関税撤廃率90%を目安とする世界貿易機関(WTO)のルールをめぐり「(違反の)疑義がある」と問題視したが、安倍氏はWTO協定と整合しているとの立場を崩さなかった。
共産党の笠井亮政策委員長は、国内の農林水産業を衰退に追いやる合意内容だとして「国会承認は断じて認められない」と述べた。
本会議後の審議は衆院外務委員会を中心に行われるが、野党側は関係する分野が多岐にわたるとして、他の委員会との連合審査も必要だと主張している。
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