【5時から作家塾】発売相次ぐ完全ワイヤレスイヤホン 音声アシスタントでの操作が標準の時代へ

 

 左右が完全に独立したワイヤレスイヤホンの発表が相次いでいる。最近だけでもサムスン、ファーウェイ、アマゾン、アンカー(アクセサリーメーカー)、マイクロソフト、そしてグーグルが新製品を発表、同市場への参入を明らかにした。

 完全ワイヤレスイヤホン市場を最初に開拓したのは、その形状から「うどん」などと評されることもあるアップルのエアポッズだ。調査会社カウンターポイントの調査から、2018年第4四半期(10月~12月)における世界の完全ワイヤレスイヤホン市場において、エアポッズは60%のシェアを握っていたことがわかっている。

 しかし、相次ぐ大手メーカーの参入により、同市場が今後激戦地となることは確実だ。そして注目すべき点のひとつは、ワイヤレスイヤホンの操作方法である。

 多様な可能性を秘めるワイヤレスイヤホン

 イヤホンがワイヤレス化された時点でケーブルは消失し、ケーブルの途中にあった音量コントローラーもなくなった。それに代わって採り入れられたのが、イヤホン本体をタップする、スワイプするといったジェスチャー操作と、音声アシスタントを利用した音声による操作だ。

 アップルの「エアポッズ2」は、「ヘイ、シリ」と声がけすれば、iPhoneを取り出さなくても音楽再生や音量調節、また今後はソフトウェアのアップデートで、着信メッセージの読み上げも可能になる。

 アマゾンの完全ワイヤレスイヤホン「エコバッズ」は、同社が開発した音声アシスタント、アレクサだけでなく、シリとグーグルアシスタントにも対応する。

 グーグルの初代ピクセルバッズは左右がつながったワイヤレスイヤホンだったが、10月に発表された「ピクセルバッズ2」(2020年春発売予定)は、エアポッズと同じ左右が独立した形のワイヤレスイヤホンだ。グーグルアシスタントに対応し、「オーケイ、グーグル」と呼びかけるだけで、音楽の再生、ルート検索、家族への通話などが可能だ。また初代と同様、リアルタイム翻訳機能も搭載している。

 マイクロソフトの完全ワイヤレスイヤホン「サーフェス・イアバッズ」も、同社開発の音声アシスタント、コルタナに対応。またオフィス365へのアクセスが可能なので、スマートフォンのワードやアウトルックなどのオフィスアプリを開き、イアバッズ経由で音声入力やメールの読み上げなどができる。

 つまり現在、完全ワイヤレスイヤホン市場では、音声アシスタントに対応するモデルが主流となりつつある。そして音声アシスタントといえば真っ先に頭に浮かんでくるのが、スマートスピーカーである。

 となると今後の展開として考えられるのは、スマートスピーカーと同様、アレクサやグーグルアシスタントで操作可能な、サードパーティーによる完全ワイヤレスイヤホンの発売だろう。

 そしてもうひとつ、忘れてはならないのが、中国メーカーの存在だ。

 無視できない中国勢の動き

 現時点で完全ワイヤレスイヤホンを出している中国メーカー大手はファーウェイのみ、しかも同社の「フリーバッズ3」は音声アシスタントには対応していない。

 しかし、世界のスマートスピーカー市場では、百度(バイドゥ)、アリババ、小米(シャオミ)の中国勢がシェアを拡大しており、調査会社カナリスによれば、2019年第2四半期のベンダー別シェアは、1位アマゾン(25.4%)、2位バイドゥ(17.3%)、3位グーグル(16.7%)、4位アリババ(15.8%)、5位シャオミ(10.8%)となっている。そしてバイドゥは「デュアOS」、アリババは「ティモール・ジニー」、シャオミは「シャオAI」と、それぞれ独自の音声アシスタントを開発しているのである。

 つまり今後はバイドゥ、アリババ、シャオミが、それぞれの音声アシスタントに対応する完全ワイヤレスイヤホンを発表する可能性は十分にある。

 現在のアップル「エアポッズ」独走体制がいつまで続くのか、そして中国メーカーの参入はあるのか。完全ワイヤレスイヤホン市場の動向に注目したい。(岡 真由美/5時から作家塾(R)

グーグルの「ピクセルバッズ2」
マイクロソフトの「サーフェス・イアバッズ」

【プロフィール】5時から作家塾(R)

編集ディレクター&ライター集団

1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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