国境の町モンラ、カジノで収益 ミャンマー政府の支配及ばず

 
ミャンマー北東部シャン州モンラにあるカジノ(共同)
停戦合意30年を祝う式典で行進する「民族民主同盟軍」の女性兵士(共同)

 ミャンマーには少数民族武装勢力が統治し、政府の実効支配が及ばない地域がある。中国に接する北東部シャン州のモンラでは、1989年に当時の軍事政権が少数民族シャンなどの「民族民主同盟軍」に一定の自治を認めた。ミャンマー通貨のチャットは使われず、人民元が流通。中国人が運営するカジノの収益が地元経済を支える。

 ビルマ共産党から分裂した民族民主同盟軍は89年、軍政と停戦に合意し、代わりに支配地域の維持を認められた。今年6月30日、モンラでは停戦合意から30年を祝う式典が開かれ、銃を手にした約1000人の兵士が行進。ミャンマー政府のアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相も祝意のメッセージを送った。

 民族民主同盟軍の広報担当、カム・マウン氏は「政府の支援はほとんど受けず、独自に発展してきた」と語る。2015年の国政総選挙の際にも、モンラでは投票が行われなかった。同氏は「スー・チー氏が国の事実上のリーダーとなってからも、ここでは何の変化もない」と説明した。

 民族民主同盟軍は、モンラと周辺を合わせた広さ約5000平方キロの地域を統治。シャンなどの少数民族が暮らしている。カム・マウン氏によると、中国人にホテルやカジノの建設、運営を許可する代わりに、定期的に「税金」を徴収。インフラ整備などに充てているという。「われわれは貧しいが、住民から税金は取っていない」と強調した。

 かつてモンラにはカジノ目当てに多くの中国人が訪れていた。民族民主同盟軍の経済担当、サイ・サム氏によると、最盛期の00年代前半には中国人がバスで続々と越境し、1日4万人近く来ることもあった。その後、雲南省当局がギャンブル目的での越境を禁じ、訪問者は激減。地元経済に大きな打撃となった。

 カジノによる「税金」を原資に、天然ゴムやサトウキビの栽培に乗り出して苦境をしのぎ、最近はオンラインカジノに活路を見いだしている。モンラのカジノからのインターネット中継を見ながら賭けに参加できるというもので、モンラの中国人業者がサービスを提供しているという。

 中国人が越境することなく金をつぎ込んでいるとの話もある。カジノで働いていたチョー・チョーさんは「モンラのカジノは成長を続けている」と語った。(モンラ 共同)