【会見動画あり】「総務省は次官が辞め、私どもも副社長が辞めイーブンだ」 かんぽ不正会見詳報
かんぽ生命保険の不適切販売問題で、27日に辞任を表明した日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命保険の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長の記者会見での主なやりとりは次の通り。
--辞任を決めた時期は
長門氏「お客さまの信頼を毀損(きそん)し、国に迷惑をかけ断腸の思い。8月の上旬には責任を取らねばならないと覚悟していた」
植平氏「6月の末。退任は頭にあったが、お客さまの不利益解消を優先する考えだった」
横山氏「不利益解消と再発防止策を最優先でやってきた。12月ぐらいから辞任を意識していた」
--なぜこうした事態に至ったか
長門氏「経営は結果責任。私自身の経営力の無さ。環境のせいではない。深く反省している」
--検討中の行政処分案を鈴木茂樹前総務事務次官から聞き出していた日本郵政の鈴木康雄上級副社長も辞任する
長門氏「20日夕に高市早苗総務相から(漏洩=ろうえい=について)照会され、大事な問題と認識していた。総務省の事務方トップが辞め、鈴木副社長も大変重大なことと認識し本日、自ら辞職という道を選んだ。これを受け、当社としては調査を行わないと決断した」
--“役所体質”との指摘がある
長門氏「民営化してからの12年は長い歴史のごく一部。民間との違いは乗り越えなければいけない。乗り越えないと上場企業としてやっていけない」
--不正な保険募集を組織として助長する要因はなかったか
植平氏「優績者(営業成績の良い職員)を表彰する制度はどの組織でもある。問題としても取り上げられているが、新規契約を優遇していた。評価の仕方を変えようとしており、表彰制度についてもメスをいれてきた」
横山氏「(募集)品質に重きを置いた制度に変えてきている。社員も自覚している。ご指摘の点が全くないかというと、全てが途上であった」
長門氏「ご指摘の点は原因の一つ。きちんと対応したい」
--不正な募集を許容していたのでは
植平氏「全くない。厳正にチェックできなかったのは反省している。(不正募集を)助長したとは思っていない」
--長門社長は自身の力が及ばず環境のせいでないと述べた
長門氏「制約や、しがらみのない経営はあり得ない。信託銀行や証券子会社、海外拠点もない中で戦う。いくつもの制約は無論、感じている。その中でどうやるのかが経営。そういう言い訳はしたくなかった」
--退任にあたり退職金はあるのか
長門氏「年俸制なので、ない」
--かんぽ生命保険には民間との公平な競争条件確保のため、加入できる保険金額に上限があるなど規制が課せられている
植平氏「社内ではタブーの領域なく、いろんな戦略論議を行う。どういう商品が市場では魅力的なのかは議論している。限度額が課せられていること、商品ラインアップが少ないこともあって、どんな領域の商品を、どういうマーケットで販売を進めていけばいいだろうと議論は常にしている。日本郵便の募集人の方々は優秀。商品を流し込んでいけばもっと売りやすい環境ができるという思いはあった。それで問題が解決するというわけではないとは理解している」
横山氏「制約にかかわらず、不利益を生じさせてはいけないのは当たり前だ。従来、かんぽ生命は貯蓄性商品が主流。お客さまへのご案内をする中で最近の低金利環境、経済環境の変化に伴う転換がうまく図れなかった」
--情報漏洩問題について。鈴木上級副社長への調査の打ち切りは考えられない
長門氏「鈴木上級副社長の問題は、相手の次官も退かれ、こちらも十分に問題を認識して辞めた」
--鈴木氏は保険不正販売をめぐるNHKの取材手法を「暴力団と一緒」と発言している。撤回しないのか
長門氏「鈴木上級副社長の発言なので私からは申し上げられない。暴力団という表現を使ったということは私は極めて不適切、言い過ぎだというのはある。気持ちを忖度(そんたく)できないでもないが、社会的にそういう発言したのは不適切」
--情報漏洩問題に絡み、総務省では事務次官が辞めている
長門氏「総務省は次官が辞め、私どもも鈴木上級副社長が辞めた。そういう意味ではイーブンだ」
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