レジ袋有料化7月スタート 先行自治体、全国一律に期待
買い物用レジ袋の有料化が今年7月からスタートする。必要な場合にはコンビニエンスストアも含めて1枚当たり1円以上で購入しなければならない。無駄なプラスチックごみを減らす象徴となる取り組みだ。
国より先にレジ袋の有料化などで使用抑制に乗り出した自治体もある。「レジ袋有料化等取り組み推進条例」を2008年4月に施行した東京都杉並区もその一つだ。
区内のあるスーパーのレジに行くと、レジ袋(Lサイズ)3円と表示が。自分で必要な枚数をかごに入れる仕組みだ。ほとんどの人がマイバッグや他の店で受け取ったレジ袋を持参していた。
コンビニで進まず
一方、コンビニでは「レジ袋の削減にご協力ください」という張り紙があるだけ。店員は何も聞かずに無料のレジ袋に商品を入れてくれた。
杉並区はもともと、法定外目的税として1枚5円のレジ袋税の導入を目指し条例も制定した。だが「マイバッグ持参率をどう上げるのか。海外の事例や国内で先行する事業者の動きを調査した結果、有料化が有力な手段となって今の条例をつくり、レジ袋税の条例は廃止しました」。高橋澄人・環境課環境活動推進係長が説明する。
有料化の条例では(1)前年度のレジ袋の使用枚数が20万枚以上ある(2)食料品等販売業の許可を得ている(3)マイバッグ等持参率が60%に達していない-の要件を満たす事業者は、レジ袋の使用削減が義務付けられる。
該当すれば、2年間で持参率を60%以上に引き上げる計画を作成する必要がある。計画書を提出しない事業者には区が勧告し、従わない場合は名称を公表することも。「条例で『有料化等』とあるように、削減の取り組みは有料化だけではなく、お客さんへの声掛けも含め事業者に任せています。レジ袋の単価の規定はありません」
杉並区によると、条例が導入される直前、07年度のレジ袋使用枚数は約1億。施行後の14年度には8055万枚まで減ったが、その後は増加に転じ18年度は9615万枚だった。「有料化ではないコンビニやスーパーがオープンしたことや、ドラッグストアも調査に含めたことが増加の主因です」と高橋さん。
持参率は、有料化したスーパーなどが平均80%台で90%を上回る所もある。これに対し、声掛けやポスター掲出が中心のコンビニは、平均して5人に1人程度だ。
「スーパーには買い物という明確な目的があって行くので、マイバッグを持っていく。コンビニは仕事帰りなどにふらっと立ち寄るので、持参率はなかなか上がらない」
一つの自治体だけで有料化する限界もある。高橋さんは言う。「隣接する自治体の商店との関係などもあり取り組みの難しさがありました」
コンビニは有料化せず声掛けなどによる削減に取り組んできたが成果は上がらない。それだけに全国一律の有料化への期待は大きい。
有料化の先を目指す自治体もある。観光名所の保津川を舟で下るツアーの出発地やトロッコ列車で知られる京都府亀岡市は、全店舗でレジ袋の提供を禁止する条例案を議会に提出した。「大雨の後にはレジ袋やペットボトルなどのプラスチックごみが保津川両岸の草木に引っ掛かったり、川岸に漂着したりして景観が台無しだ。ごみをレジ袋に入れポイ捨てしている人が多いためです。まずこのポイ捨てを減らしたい」と、桂川孝裕市長が提供を禁止する狙いを語る。
提供禁止の条例も
保津川では05年から船頭が清掃活動を始め、環境保全に取り組むNPOも誕生した。ごみ問題への関心は高く「海ごみサミット」も内陸部の自治体で初めて開催。18年にはエコバッグ持参率100%とプラごみを全量回収し資源循環を目指す「プラスチックごみゼロ宣言」もまとめている。
プラごみは海を汚染するとして世界的な対応が加速した。亀岡市は、プラごみが観光産業に悪影響を及ぼす「自分ごと」として受け止めたからこそ対策が始まった。
「次は無農薬、有機による京野菜の栽培にも力を入れたい。環境先進都市になることが、亀岡ブランドの確立に役立つはずだ」と桂川さん。環境への取り組みを核とした戦略的な地域づくりにつながっている。
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