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習国家主席の4月来日延期 日中、新型コロナ対応優先

 日中両政府は、4月に予定していた習近平・中国国家主席の国賓来日の延期を決めた。菅義偉官房長官が5日の会見で発表した。新型コロナウイルス感染による肺炎の影響が広がる中、当面は終息に向けた国内対応を優先すべきだと判断した。来日準備の停滞で、成果が見込めない状況となっていた。両政府は日程の再調整に入る見通しだ。

 実現すれば、2008年5月の胡錦濤氏以来、約12年ぶりの中国国家主席の国賓来日だった。感染の拡大を受け、来日先送りの見方が広がっていた。日本国内の保守層から国賓として処遇することへの反対論もあった。

 日中関係は、12年9月の尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化を機に冷え込んだ。両政府は関係改善を進め、平和友好条約締結40周年の18年5月に李克強首相が来日し、同10月に安倍晋三首相が日本の首相として約7年ぶりに公式訪中した。昨年6月には習氏が20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に合わせて就任後、初来日した。

 日中は、習氏来日時の成果として両国関係を規定する「第5の政治文書」を交わす方向で協議を進めていた。しかし、中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大で状況が一変。安倍首相は2月下旬に来日した中国外交トップの楊潔●共産党政治局員と会談し「入念な準備が必要だ」と伝えていた。

●=簾の广を厂に、兼を虎に