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30年度に食料自給率、目標45% 政府が農政方針を閣議決定

 政府は31日、中長期的に取り組む農政の方針を定めた、新たな「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定した。2015年3月以来5年ぶりの見直し。国内の食料消費が国産でどの程度賄えているかを示す食料自給率は、熱量で換算するカロリーベースで30年度に45%とする目標を設定し、従来目標(25年度に45%)と同じ水準とした。19年に9121億円だった農林水産物・食品の輸出額を30年までに5倍超の5兆円に引き上げる目標も記した。

 金額で換算する生産額ベースの食料自給率の目標は30年度に75%とし、従来目標(25年度に73%)から2ポイント引き上げた。さらに今回の見直しでは、畜産物の生産に関して飼料が国産か輸入かを問わない「食料国産率」と呼ぶ新たな指標も導入し、30年度にカロリーベースで53%、生産額ベースで79%を目指すとした。

 輸出額5兆円の達成に向け、4月1日に農林水産省に司令塔組織を新設するなど「政府一体となった輸出の促進を図る」とした。人口減少や国内市場の縮小といった逆風が続く中、江藤拓農水相は31日の記者会見で「農業経営の底上げ、さらなる輸出拡大など国内農業の生産基盤の強化が不可欠」と話した。

【用語解説】食料自給率

 国内の食料消費が国産でどの程度賄えているかの割合を示す指標。食料の重量を熱量に換算した「カロリーベース」と、金額に換算した「生産額ベース」がある。輸出は緊急時には国民への食料供給に回せることから、国産として扱う。カロリーベースの自給率を目標とする農業政策は国際的に珍しく、政策目標としての有効性に疑問の声もある。