首相の報道機関への書面回答全文(1)「地方の医療提供体制整備しっかり支援」
政府は9日、首相官邸で7日に開かれた安倍晋三首相の記者会見で、質問できなかった報道機関が会見後に提出した質問に対し、書面で回答した。全文は次の通り。
--新型コロナウイルス対策で、大規模な経済対策や財政出動を表明した。その必要性を認める声の一方、巨額の負債(借金)を抱える日本の財政は今後大丈夫なのかと危惧する意見もある。財政健全化やプライマリーバランスの均衡化はますます遠のかないか。国際社会から日本の財政状況を不安視する声が一層高まる恐れもあるが、安倍首相の考えは
「安倍政権の基本方針は『経済再生なくして財政再建なし』です。
新型コロナウイルスの感染が世界に広がり。日本経済のみならず、世界経済が大きなショックに見舞われている中、財政ばかり優先し、国民生活が壊れてしまっては元も子もありません。
財政・金融・税制を総動員し、できるだけ早く日本経済を正常な成長軌道に復帰させることが今は財政健全化を達成する意味でも最も重要なことと考えています」
--緊急事態宣言の発令前から都市部から地方へ「避難」する動きがあった。今回の宣言でその動きがむしろ加速する可能性が否めない。里帰り出産などでの帰郷も考えられる。「移動の自由」との兼ね合いも考えなければいけないが、この点にどう対応していくのか
「国民の皆さまに『移動の自由』が保障されていることは当然のことです。よって、やむを得ない理由であれば、さまざまな感染を広げないための対策を練った上で、帰郷していただくことを制限するものではありません。
その上で、収束に向けては、国民の皆さまにご協力をいただき、行動を変えていただくことが何よりも重要です。今般の新型コロナウイルス感染症は、感染していても症状が出ず、気づかずに人を感染させてしまう恐れがあります。特に、若い方は、なかなか症状が出ず、知らず知らずのうちに重症化のリスクの高い高齢者に感染させてしまうかもしれません。
今回の緊急事態宣言によって、欧米のような都市封鎖のようなことは行わず、経済社会の機能は維持していきます。感染拡大につながる地方への移動などの動きは厳に控えていただきたいと思います」
--「緊急事態宣言の対象地域から地方に移動する動きは控えてほしい」との発言があったが、すでに地元への帰省や対象地域外への「疎開」と呼ばれるような動きが出ている。また逆に、地方からは良かれと思い「戻ってきたらいいのではないか」と帰省を促すケースもあり、今後、その動きが加速する懸念もある。移動の自由とのバランスも勘案する必要があるが、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な地方ではすでに、一部の自治体で来県の自粛や来県者への外出自粛を求める呼びかけも始まっている。地方の医療体制の確保とともに、全国的な蔓延(まんえん)を防ぐには重要な部分であると考えるが、どう協力を求めていくか。また、地方への流入の動きが加速、または止まらない場合、従来以上に移動の制限を強化する可能性はあるか。また、合わせて仕事や家庭の都合などやむを得ない事情で都市部など地方の間を移動する人もいる。そのような方々にはどのように注意喚起や協力を求めていくか
「国民の皆さまに『移動の自由』が保障されていることは当然のことです。よって、やむを得ない理由であれば、さまざまな感染を広げないための対策をとった上で、移動していただくことを制限するものではありません。
その上で、収束に向けては国民の皆さまにご協力をいただき、行動を変えていただくことが何よりも重要です。今般の新型コロナウイルス感染症は感染していても症状が出ず、気付かずに人を感染させてしまう恐れがあります。特に若い方はなかなか症状が出ず、知らず知らずのうちに重症化のリスクの高い高齢者に感染させてしまうかもしれません。
今回の緊急事態宣言によって欧米のような都市封鎖のようなことは行わず、経済社会の機能は維持していきます。感染拡大につながる地方への移動などの動きは厳に控えていただきたいと思います。
地方の医療提供体制をしっかりと確保していくことも重要です。今回の緊急経済対策では、各地域の実情に応じて、受難かつ臨機応変に支援ができるよう、新たな交付金を設け、医療提供体制の整備をしっかり支援してまいります」