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東京五輪延期 追加の公費負担不可避 都民・国民の理解どう得る

 大会延期で最大の課題となるのが、数千億円規模とみられる追加経費の負担問題だ。大会組織委員会がスポンサー契約の延長などで増収を図ったとしても、開催都市の東京都を軸とした公費負担は避けられそうにない。深刻な景気後退が懸念されるだけに都民や国民の理解をどう得るかが焦点で、関係者の間では決着は早くても夏以降との見方が強まっている。

 新たな経費として想定されるのは、会場確保に関わる補償費や、契約期間が延びる組織委スタッフの人件費、関係者向けホテルの再手配の費用など。組織委は必要額の精査を急ぐが、補償などは交渉次第の面もあり「簡単ではない」(組織委の武藤敏郎事務総長)。経費は5000億~6000億円に膨らむとみる関係者もいる。

 経費分担の議論はさらなる難題。民間資金で運営する組織委の収入には限界がある。立候補段階では、組織委が赤字となった場合はまずは都が補填(ほてん)すると約束されており、都費の拠出が想定される。都や組織委は政府や国際オリンピック委員会(IOC)の協力を引き出そうとしているが、これまでのところともに慎重姿勢。2017年にあった費用負担をめぐる論議が再燃しそうだ。

 従来の大会経費1兆3500億円では、都は5970億円を負担し、これとは別に施設のバリアフリー化など「関連経費」として約7770億円を拠出する見通しだった。さらなる都費投入は世論の反発が予想される。小池百合子氏の再選出馬が確実視される今夏の都知事選前に本格的な議論を持ち出すのは「難しい」(大会関係者)との指摘が相次いでいる。