政府の経済対策「遅い」 エコノミスト7割が不満、株価は二番底も
エコノミスト緊急アンケート<2>
産経新聞が行ったエコノミストアンケートでは、4~6月期の成長率予想が大幅なマイナスになり、新型コロナウイルスの感染拡大の日本経済に与える影響が甚大であることを改めて浮き彫りにした。外出自粛などで需要が消失し、企業業績にも悪影響が及ぶ。足元の株式市場は回復基調だが、緊急事態宣言の延長などを受け下振れ懸念もくすぶる。エコノミストの間では、追加の経済対策を求める声が強まっている。
長期化にらみ「追加」対策必要
エコノミストアンケートで、政府が取りまとめた新型コロナウイルスの緊急経済対策に“合格点”を付けたのは全体の3割にすぎなかった。スピード感などに欠けるためで、7割のエコノミストが追加の経済対策が必要と答えた。緊急経済対策の事業規模は金融機関の融資など民間支出分も含めて過去最大の117兆1千億円に膨らんだが、早くも第2次補正予算案の編成を求める声が強まりそうだ。
28人のエコノミストに政府の緊急経済対策について100点満点で点数(合格点は70点と設定)を付けてもらったところ、70点以上の合格点を与えたのは9人だった。全体の7割にあたる19人が不合格にあたる70点未満で、平均点も60・46と合格点に届かなかった。
多くのエコノミストが経済対策に欠けていると指摘するのが、そのスピード感だ。
最も辛い30点を付けたバークレイズ証券の山川哲史氏は「欧米主要国と比較して政策反応のタイミングが遅い」と不満をもらす。三井住友DSアセットマネジメントの宅森昭吉氏も「感染症の対策を素早く決定し、実行する必要があった」と指摘する。
経済対策の中身についても「企業の支援策が不十分で、このままでは倒産、失業の急増が避けられない」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏)といった懸念の声があがった。
一方、「所得、雇用、中小企業対策に重点が置かれている」(SMBC日興証券の牧野潤一氏)ことや、「最終的に大規模な対策になった」(JPモルガン証券の鵜飼博史氏)と過去最大の事業規模を評価する声もあった。
それでも、多くのエコノミストが追加の経済対策の必要性を指摘した。背景には緊急事態宣言が1カ月ほど延長される見通しになるなど、問題の長期化が懸念されるからだ。
ソニーフィナンシャルホールディングスの菅野雅明氏は追加対策について「外出自粛・休業要請が長期化する場合は、中小企業の資金繰り対策費を追加する必要がある」と強調。野村総合研究所の木内登英(たかひで)氏は「マイナス成長は1年間は続き、現金給付は何度か追加で行う必要がある」と指摘している。
東証1万8000円~2万2000円で推移
新形コロナウイルスの感染拡大による世界経済の悪化を受け、日経平均株価は続落し、3月19日には1万6358円と3年4カ月ぶりの安値をつけた。政府による過去最大規模の経済対策の表明で足元は2万円付近まで持ち直しており、感染収束に伴い年末にかけて回復基調を見込むエコノミストは多い。ただ、緊急事態宣言の延長など懸念材料も多く、二番底をつけるとの見方も根強く残る。
5~12月末までの年内の日経平均株価がどの程度の範囲で推移するか、エコノミストに質問をした。回答者の予想では、安値1万8000円~高値2万2000円の範囲で推移するとのシナリオの見方が大半を占めた。
回答者の8割超は12月中に高値をつけると見込む。「11月にコロナの落ち着きから回復期待が高まる。大統領選に向けて米国の景況感も持ち直す」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之氏)といった、秋以降に国内外の景気改善を予想する向きが強い。
「やや楽観的な想定に立ち、なおかつ過去最大規模の経済対策が出てくるのであれば、年内は大幅に強含むと考えてよい」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏)と強気な分析もある。
感染収束に加え、第5世代(5G)移動通信システムの需要拡大への期待から、最高値では2万5000円と昨年の高値を上回る水準を予想する声もあった。
一方、「企業の業績発表が本格化する5月以降、業績悪化の深刻さが再認識される」(日本総合研究所の枩村(まつむら)秀樹氏)といった理由で、9割が5~6月に安値を見込んだ。
予想の最安値は1万3750円。「主要国のロックダウン(都市封鎖)長期化やグローバルな金融システミック・リスクの懸念が高まり、夏場に向けて世界の株式市場は二番底へいく」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)との厳しい見方もある。「実体経済の落ち込みの大きさに比べ、株価の戻りが早すぎる印象」(富士通の早川英男氏)は拭えていない。