新たな支援策続々 与党、家賃支援策を提言 困窮学生に10万円給付の動きも 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、経済的に苦しむ企業や個人への新たな支援策が固まり、一部は本格的に給付が始まった。政府・与党は早期のとりまとめを急ぐが、ゴールデンウイーク明けには東京など大都市を中心に外出する人が再び増えるなど、肝心の収束に向けた取り組みには懸念材料も出ている。
■家賃支援、首相「スピード感が大切」
自民、公明両党は8日、家賃の支払いが困難となった中小・小規模事業者や個人事業主の支援策に関する提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。首相は「スピード感が大切だ。いただいた案をもとに全力で取り組んでいきたい」と応じた。政府・与党は家賃支援を盛り込んだ令和2年度第2次補正予算案の編成に着手する方針だ。
提言は、一定程度売り上げが減った事業者に対し、上限を設けた上で家賃の3分の2を「特別家賃支援給付金」として支給することが柱。半年分で最大300万円給付される。業種は絞らず、1カ月の売り上げが前年同期比で50%以上、または3カ月で30%以上減った事業者を対象とする。
テナント(借り主)に、まず政府系金融機関などが無利子・無担保で融資し、国が後から半年間の家賃の3分の2を給付する。給付の上限は中小・小規模事業者が月額50万円、個人事業主が同25万円。年内の半年分を給付する。
原則、融資と給付の組み合わせだが、給付のみも受けられる。6月からの給付開始を目指す。
公明党の主張を踏まえ、不動産のオーナーらに独自の家賃支援を行う地方自治体への財政支援も盛り込んだ。財源として地方創生臨時交付金を拡充する。
■学生への現金給付「早急に対応」
また、経済的に苦しむ学生への支援策も動き出した。公明党の斉藤鉄夫幹事長は8日、萩生田光一文部科学相と面会し、学生1人当たり10万円の現金給付を行うよう要請した。萩生田氏は「思いは同じだ。早急に対応したい」と応じた。
支援対象は、非課税世帯や中所得世帯などの大学生や大学院生ら約50万人。予算規模は500億円で、2年度補正予算に計上された予備費の活用を検討する。
■持続化給付金、8日に280億円給付
一方、売り上げが大幅に減った中小企業や個人事業主に最大200万~100万円を支給する「持続化給付金」の給付が8日、始まった。梶山弘志経済産業相は記者会見で、8日は約2万3千件、280億円を給付すると明らかにした。
1件当たりの平均給付額は約121万7千円。2万3千件は、申請初日の今月1日に受け付けた件数の約4割程度に相当する。7日の午後5時までの申請件数は約50万件。通常は申請から給付まで2週間程度かかるという。申請はオンラインのみで、経産省のホームページなどからアクセスできる。
給付の条件は、資本金10億円未満または従業員数が2千人以下の企業や個人事業主で、事業を継続する意思があること。また、今年、新型コロナの影響により、売り上げが前年比で50%以上減少している月があることが条件となる。
その月の売り上げの12カ月分を算出し、昨年1年間の売り上げから引いた額を、想定される「減収分」として給付する。ただし、企業は最大200万円、個人事業主は最大100万円まで。資金の用途は限定されていない。