地銀・バス業者の合併柔軟に 特例法成立、地域住民サービス維持

 

 地方銀行やバス事業者の、それぞれの合併や共同経営を柔軟に認める特例法が20日、参院本会議で可決、成立した。10年間の限定で独禁法の適用から除外する。地方の住民生活に不可欠なサービスの維持につなげる狙いで、2020年中の施行となる見通しだ。新型コロナウイルスの影響で地銀や地方のバス会社の経営は厳しさを増しており、再編が大きく進む可能性がある。

 人口減少で利用者が減り、将来的にサービスを維持していくことが困難と判断される場合に限り特例を認める。合併や共同経営に関わる事業者の計画を所管省庁の大臣が審査し、公正取引委員会とも協議した上で認可する。

 合併によって地域でのシェアが高まっても、貸出金利や運賃を不当に引き上げないことや、赤字路線の存続などを条件とする。認可後に問題が生じれば、是正命令を出して改善を求めることができる規定も盛り込んだ。

 バス事業者は、路線や便数を事業者同士で協議して調整することも可能になる。中心部の路線の重複を減らしたり、山間部の運行を分担して維持したりすることにつなげる。事業者間で収入を分け合う「運賃プール」も容認する。

 熊本県では特例法の施行を見据え、九州産交バスなど5事業者が今年1月、共同経営への移行に合意したことを発表。施行後速やかな認可申請を目指して準備を進めている。

 地域企業の合併をめぐっては、ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行の統合が、長崎県でのシェアの高まりを懸念した公取委の審査の長期化で大幅に遅れた例がある。政府はこうした問題を踏まえて、より弾力的に地域企業の合併などを可能にする方策を検討してきた。

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【用語解説】独占禁止法(独禁法)

 企業間の公正で自由な競争を促すルールを定めた法律。競争相手を排除したり、新規参入を難しくさせたりする私的独占のほか、入札談合などの不当な取引制限を禁止。市場シェアが高まることで一定程度自由に価格を操作できるようになる企業の合併なども規制している。公正取引委員会が調査権限を持ち、違反を認定した場合は是正に必要な排除措置命令を出したり、課徴金を課したりする。