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返礼品なしの寄付で応援 ふるさと納税、自治体は歓迎

 新型コロナウイルスの影響で疲弊する地域の医療や産業を支援しようと、ふるさと納税で返礼品がない寄付を選ぶ人が増えている。自治体からは「ふるさとを応援する制度本来の姿に近づいた」と歓迎の声が上がる一方、特定の募集に寄付が集中し、新たな格差も生まれている。

 北九州市は5月に「コロナに負けない、北九州の底力」と称するクラウドファンディング(CF)型の寄付募集を始めた。返礼品はないが、自己負担2000円を除いた額が上限の範囲内で住民税などから差し引かれる。医療関係者や新型コロナで深刻な影響を受ける事業者の支援が目的で、目標額を5000万円とした。

 市では開始直後に感染が再燃して「第2波」と報道されたこともあり、全国から寄付が急増。担当者は「市に縁のある人を中心に問い合わせが相次いでいる」と話し、目標を超える7000万円に達する勢いだ。寄付者のほぼ半数は同市在住で、市民からの寄付の受け皿となっている面もあるという。

 過度な返礼品による寄付集めを理由にふるさと納税制度から除外された大阪府泉佐野市は、国相手の訴訟に勝訴して制度に復帰後、新型コロナ対応に当たる地元拠点病院を支援するCFを開始。2週間で500万円が集まり、企画した同市の阪上博則理事は「返礼品なしでここまで反響があるとは」と驚く。

 ふるさと納税仲介サイト大手「ふるさとチョイス」では、1~6月の返礼品のない寄付の件数が前年同期の約2.4倍になった。運営するトラストバンク(東京)はコロナ禍で地域を応援しようという人が増え、手軽なふるさと納税という手段を活用していると分析する。

 同サイトでは80以上の自治体が新型コロナ関連のCFを展開し、その多くは返礼品がない。医療機関や観光地の支援に多額の寄付が集まる一方、募集が乱立する中で埋もれてしまうものも少なくない。

 島根県雲南市は、感染防止のため休校になった地元高校生がオンラインで学べる環境を整備するCFを5月に企画。だが期限の7月末までの寄付は約340万円で目標の600万円に届かなかった。

 市教育委員会の関係者は「コロナ禍では全国の自治体がそれぞれ問題を抱えている。違いを強調して寄付を呼び掛けるのが難しかった」と語る。

 トラストバンクの広報担当者は「各地でさまざまな課題がある中、寄付を募るプロジェクトに『共感』してもらえる見せ方ができるかどうかが重要になってくる」と指摘した。